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Intelのビッグデータ/IoT戦略を支えるClouderaとMcAfeeの存在~「Enterprise Summit」初日レポート (IntelのHadoop戦略はClouderaとともに)
(2014/8/20 12:13)
IntelのHadoop戦略はClouderaとともに
Intelが自前で行っていたHadoopディストリビューションの開発をやめ、Hadoopディストリビュータ最大手のClouderaに7億4000万ドルの投資をするというニュースは、投資額の規模を含め、エンタープライズ業界ではかなりの驚きをもって迎えられた。この提携により、両者は
・オープンソースソフトウェアによるイノベーションの加速 … オープンでホライゾンタルなビッグデータプラットフォームの継続、Apache Hadoopおよび関連エコシステムの拡張への協力
・CDH(Cloudera's Distribution including Apache Hadoop)をIntelアーキテクチャ向けに最適化 … パフォーマンスの最適化、セキュリティの拡張
・ビッグデータエコシステムの発展に貢献 … 利用モデルの確立と標準ベンチマークへの準拠、リファレンスアーキテクチャおよび業界をまたいだソリューションの開発
といった分野で共同作業を図っていくことになり、すでにこれらの取り組みの一部はスタート済みだ。
Clouderaはこれまで、OracleやTeradata、MongoDBといったデータベース企業との提携を発表してきたが、Intelとの提携はそれらとは規模も重要性もまったくレベルが異なる。Intelは今回の投資でClouderaの株式のうち18%を保有し、同社の筆頭株主の座に就いているが、これは今後、ClouderaがIntelアーキテクチャ前提でHadoopディストリビューションを開発していくということを意味している。
ではIntelはなぜ独自開発をストップし、ビッグデータ/IoT戦略の要ともいえるHadoopプラットフォームをClouderaとの共同開発することにシフトしたのか。今回のイベントに出席したCloudera APJのフィールドテクニカルサービス部門ディレクターであるガブリエル・ゲナイ(Gabriel Genai)氏は「おそらくIntelは、社内でHadoop開発をこのまま続けていてもClouderaやその他のHadoopベンダに追いつくことは難しいと判断したのだと思う」と個別インタビューで語っている。
また、製造業、金融、通信、ヘルスケア、エネルギー、パブリックセクタといったClouderaがターゲットにしている顧客層は、そのままIntelがビッグデータ戦略で取り込みたい顧客層と一致する。ビハインドの状態でHadoop市場に参戦し続けるよりも、開発リソースが豊富で業界での評価/実績がトップ、そして同じ顧客層をターゲットとするClouderaと手を組む、というよりもほとんど一心同体で共同戦線を張ったほうが得策と判断したことは疑いない。
「Hadoopの魅力はシンプルかつオープンでありながら、アーキテクチャとして非常に洗練されているところ。数多くのエコシステムが生まれた理由もそこにある。そしてClouderaはHadoopの魅力はそのままに、パフォーマンスやセキュリティといった面からエンタープライズでの使用に耐えうるよう改善を図ってきた。特にHadoopスタックの完成度は競合の追随を許さない。Intelが自社によるHadoop開発ではなくClouderaを選んだことはわれわれにとってそれほど不思議ではない」(ゲナイ氏)。