イベント

Intelのビッグデータ/IoT戦略を支えるClouderaとMcAfeeの存在~「Enterprise Summit」初日レポート

 8月19日および20日の2日間に渡り、インドネシア・バリ島において開催された「Intel Enterprise Summit, Bali」。このイベントはIntelがアジア太平洋地域(APJ)の顧客およびプレスに向けて、今後1年間のエンタープライズ戦略を発表する場となっている。

 今回、2014~2015年の注力分野として掲げられたのは「クラウド」「ビッグデータ」「データセンターモダイナイゼーション」の3つ。このうち初日のプレス向けセッションでは同社のビッグデータおよびIoT(Internet of Things)ビジネスの現状と今後の展開について説明が行われた。本稿では現地での取材をもとに、IntelがビッグデータとIoTでもって実現しようとしている世界について概観してみたい。

今年度のIntelのエンタープライズ戦略を支える3つの柱「クラウド」「ビッグデータ」「モダナイゼーション」

2020年には「500億のデバイス」「35ゼタバイトのデータ」

Intel APJ セールス&デベロップメント部門 リージョナルディレクターのフィリップ・クローニン氏

 ビッグデータ戦略の説明を行ったのはIntel APJでセールス&デベロップメント部門のリージョナルディレクターを務めるフィリップ・クローニン(Philip Cronin)氏。同氏はまず、現在のコンピューティング環境について「10年前のように単純にコンシューマとエンタープライズと二分される状況ではなく、双方の境界線があいまいになり、しかもかつてないほどの大量のデバイスやシステムが過去の境界線を超えてつながり始めている」と指摘、既存の常識でははかれない世界になりつつあるとしている。

 具体的にはどのくらいのデバイスやシステムが、どのようにつながっていくのだろうか。Intelによれば、2013年時点で1日あたり約5億のデバイス(非個人所有)がネットワークに追加されており、2020年には約500億のデバイスが接続された世界になるという。

 また、現状ではデプロイされているシステムのうち85%はいまだにクラウドどころかシェアードすらされていない状況にあるが、2020年までにはこの数字が大きく改善し、結果、全世界で生成されるデータ量は35ゼタバイト(ZB、350億TB)に達するとしている。そしてこれらの膨大なデバイス、膨大なデータ量が世界経済に及ぼす影響は「2025年には2.7~6.2兆ドルほどになる」(クローニン氏)とのこと。

 まさしく、ひとつひとつは小さなサイズのモノ(things)が大量にインターネットにつながることでデータへと変わり、ダイレクトに価値を生み出す時代がまもなくやってくるというわけだ。

 これほどの量のデータを受け入れることができるプラットフォームはクラウドをおいてほかにない。クローニン氏も「Intelの使命はあらゆるデバイスをクラウドへとデリバーすること」と強調しており、エンドトゥエンド(End-to-End)でビッグデータ/IoTのための分析プラットフォームを構築していくことを掲げている。ここでいうエンドトゥエンドとは、

1.Intelプロセッサを搭載したハードウェアで構成されたデータセンター上に、
2.Hadoopをベースにしたビッグデータプラットフォームを構築し、
3.さらにその上にIoTアナリティクス基盤をPaaSとして構築、
4.業界ごとに特化したアプリケーションを作成し、バーティカルに展開

というプロセスを指し、デバイスから収集されたデータは2のHadoopプラットフォームに集約され、格納されることになる。

 ここでIntelのHadoopプラットフォームを語る上で重要な役割を果たすのが、今年3月にIntelとのパートナーシップを発表したClouderaと、Intelのセキュリティ部門となったMcAfeeだ。

Intelのエンタープライズ戦略の基本は「エンドトゥエンド(End-to-End)」

(五味 明子)