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エルゴトロン、PC・タブレット用カート製品をデモ展示。ふだん見られない壁付け型も
国際モダンホスピタルショウ2014
(2014/7/17 06:00)
東京ビッグサイトにて7月16日から18日まで、3日間の日程で「国際モダンホスピタルショウ2014」が開催されている。医療・健康・福祉関連の機器類やサービスが多数集うイベントだが、そこにPCユーザーにはおなじみのエルゴトロン(販売代理店テックウインド)が出展し、独自技術を用いた「マウントソリューション」を展示している。どんな展示内容になっているのか、詳しく紹介したい。
医療現場ではPCの配置を含めた「ワークフローの整理」が重要に
エルゴトロンといえば、PCモニターなどを支えるスタンドやアームなどで名前を知っている人も多いだろう。人間工学に基づく使い勝手に優れたデザインで、PCの使用環境にこだわるユーザーにとってなじみ深いメーカーでもある。
そんなエルゴトロンが医療関連の分野にどのように関わっているのか、にわかには想像しにくいが、エルゴトロンが日本市場に本格参入して7年目となる今年、国際モダンホスピタルショウについては6回目の出展になるのだという。売上比率においても、ヘルスケア(医療)は、その他のエデュケーション、エンタープライズと並ぶ同社の主要3事業領域の一角を占めている。
エルゴトロンジャパン株式会社 テリトリーマネージャ 村上 悟氏によれば、医療の現場でデジタル化、ICT化が進むにつれ、院内に多数あるPCやPCモニターをどのように配置していくかが非常に重要なポイントになってきている。きれいに配置していれば院内のワークフローが整い、医者や看護士ら職員の業務が円滑になる。逆にうまく配置できなければ、最悪の場合医療ミスといった重大事故にもつながりかねない。
同社の独自技術を用いた医療現場向けのカート・デスクによって、デスクトップPC、ノートPC、タブレットなど端末のタイプを問わず、医療業務に最適な使い勝手を提供しているというわけだ。実際に、同社製品は日本各地にある大病院ですでに多数採用されているとのこと。
丸ごとMFI認証を取得したタブレット充電用カート
現在、医療や教育の現場で最も引きの強い製品が、最大48台までのiPadを格納して同時充電できる「タブレットPC管理カート」。ブースでは一昨日届いたばかりという最新モデル(オープン価格。市場想定価格は54万9396円)が展示されていた。以前から販売している旧モデルと基本的な機能は変わらず、iPadを鍵付きの扉の奥に格納し、1台ずつケーブル接続して同時充電可能。管理用PCを1本のUSBケーブルで接続することで、48台のiPadに対して同時にデータ送信することもできる。
最新モデルではLightning端子を備えるiPad Airなどに対応し、当然のことながらAppleのMFI認証も取得。Lightningケーブル・端子だけでなく、カートごと認証を得ているのが特徴だ。出力はApple純正のACアダプターと同じ2.4Aに強化され、充電時間を短縮。1台ごとに充電が完了したかどうか格納したままチェックできるランプを前面に備えるほか、管理用のPCを天板上に設置・カバーできる鍵付きの「ラップトップロッカー」(同9828円)も用意している。特に学校のような教育現場では、1クラス分48名までのiPadを1台のカートでまかなえるところが好評だとしている。
タブレット管理用の機器としては、この他に「タブレット充電ウォールマウント12」(同14万5800円)も展示。壁に直接固定して使う薄型のケースで、狭い通路でもスタイリッシュにタブレットを保管しておける。11.1インチまでの端末に対応し、最大12台を格納して同時充電可能。Androidタブレット、Windowsタブレット、iPadなど、サイズさえ合えばどんな端末でも扱える。
紙書類の併用も考慮したPC専用デスク
シンプルなデザインながらも機能性の高い医療現場向けPC用デスクが「StyleView EMRカート」(同23万8680円~)だ。キャスター付きの台座とモニターアーム、資料などを置いておける筆記台、キーボード・マウスの設置台などが組み合わされた製品で、高さを自由に調整して、立った状態でも、座った状態でも、最適な姿勢でPCを操作できるよう設計されている。
用途に合わせて天板の下に引き出しを取り付けたり、背面にトレイを設置することができるほか、マルチモニターに対応するアームに変えるなど、多彩なカスタマイズが可能。台座部分に66Ahの大容量バッテリーを内蔵するオプションも選択でき、電源ケーブルの長さにとらわれることなくPCを利用できるのも魅力だ。
引き出し部分は大きさなどが異なる数パターンのレイアウトが用意され、電子錠でロックもできる。あらかじめ設定した1から6までの数字の組み合わせと、引き出しの番号を入力して解錠する仕組みで、薬や書類などの収納に利用可能。一定時間引き出しを開けたままにしていると警報を鳴らすようにもなっている。
担当者によれば、類似製品は他社からも発売されているが、PCだけでなく紙の書類などを置いておける筆記台が設けられているのが同社製品の最大のメリットだいう。医療現場でもペーパーレス化が進みつつあるものの、結局のところ紙の書類はなくなっていない。現場での現実的なワークフローを考慮すると、PCとともに紙の書類も同時に使えることが必須になる、と考えているようだ。
立位・座位の両方に対応する製品にフォーカス
狭い通路でもコンパクトにPCを設置できるウォールマウント型の「StyleView 立位・座位エンクロージャ」(同15万3360円)や「StyleView 座位・立位縦型リフト」(同10万6272円)、さらにはアーム式でフレキシブルにディスプレイやキーボードを位置調整できるマウント数種類も展示している。
エルゴトロンは、座った姿勢、立った姿勢のいずれでも使用できる「StyleView」シリーズをはじめとした“座位・立位”両対応の製品にフォーカスしており、医療現場では薬剤部など、PCと薬品棚を往復するような部署や、外来診察室のバックヤードなど忙しく立ち働く部署で活用されているという。
また近年は、立ったまま仕事する方が健康維持に良いとされ、海外では、オフィスだけでなく学校で立位でも座位でも使える机が導入されるなど、立って仕事するワークスタイルの導入が話題になることが多くなっている。エルゴトロンでは、そうしたワークスタイルの変革にも対応できる製品として、医療分野だけでなく一般企業に向けても啓蒙を進めていく方針だ。
その他、「Neo-Flex モバイル メディアセンター」(同12万4200円)は、最大で65インチクラス、55kgまでの大型モニターを固定でき、キャスターによって台座ごと移動可能なディスプレイスタンド。モニター取り付け後に高さ、回転角度、チルト角度などを非力な女性でも軽々と調整でき、特に高さや回転角度については無段階調整可能な点が大きな特徴となっている。医療現場においては手術室などで用いることが想定されており、移動させやすく、使用者に合わせて簡単に高さ調整できるところが重宝されているとのことだ。