仮想化道場

コードの全面的なリフレッシュを行ったハイパーバイザー「Xen 4.5」

Xenの将来は?

 Xen Projectでは、Xenを2つの方向で拡張していこうと考えている。1つは大規模なクラウドのインフラとしての方向で、OpenStackやCloudStackなどと連携し、クラウドを構築するためのハイパーバイザーとして機能を充実していくという。

 また、これに付随して、クラウドOSとしてXen Projectの分科会で開発を進めているMirageOSを進化させていきたいと考えているようだ。

 もう1つは、ARMプロセッサのサポートなどにより、組み込み機器や自動車などでのハイパーバイザーとして使用されていくことだ。このためには、ハイパーバイザー上でリアルタイム性が必要になる。Xen 4.5でリアルタイムスケジューラが搭載されたのは、第一歩といえるだろう。

 Xen 4.6に関しては、現在開発が進められており、機能のフリーズが6月10日、リリースを10月9日ごろに設定している。

Xen 4.6のリリースは10月9日ごろを予定している
Xen Projectでは、Xenの開発だけでなく、組み込み/自動車関連のプロジェクト、VMware ToolsをXen上で動かすプロジェクトなどが行われている
仮想マシンのOSレイヤを極限まで小さくするMirageOSもXen Projectの一つだ
Windows用のPVドライバの開発も進められている
Xenでは仮想GPUにサポートにより、仮想マシン上でグラフィックを高速に表示することが可能になる。Xen 4.6で本格サポートが予定されている

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 Linux Foundationに移管され、6カ月ごとにリリースされるようなサイクルが定着すれば、Xenへの注目もさらに集まってくるだろう。今後は、クラウドにおいてはCloudStackやOpenStackとの連携が重視されてくる。もう1つ、ほかのハイパーバイザーが手を付けていない組み込み機器や、例えば今後成長が見込まれている自動車関連への応用は、Xenの応用領域を広げることになるだろう。

 Xenのリリースをもう数バージョン見ていく必要があるが、Citrixの手を離れてLinux Foundationに移管されたことで、オープンソースプロジェクトとして、いいサイクルになりそうな予感がする。

山本 雅史