Infostand海外ITトピックス

クラウドのメイントレンド? 評判のDockerをGoogleが本格サポート

クラウドを、よりクラウドらしくする

 Wired.comは「Kubernetesのリリースは、Google Compute EngineやGoogle App Engineといったクラウドコンピューティング・サービスの利用を促進するものだ」「しかし、この新しいツールは単にGoogle内に限定されるものではない」とポイントを指摘する。

 Kubernetesを使うことで、ユーザーは社内のプライベートデータセンターのマシンと同様に、例えば、AmazonやRackspaceのクラウドサービスを監視可能になる。「これは基本的に、たくさんのマシンを、ひとつの大きなコンピューターにまとめる方法なのだ」(Googleクラウドサービスのプロダクトマネジャー、Craig Mcluckie氏)という。

 リソースをより効率的に活用できるDockerに、複数のマシンのリソースを動的に割り当てるクラスタリングの組み合わせは、クラウドにはもってこいと言える。多くのベンダーがDockerに対応している中で、Kubernetesは大きな役割を果たせそうだ。リソースの効率的な利用は、クラウドをさらに安価に強力にすると期待できる。

 しかし、Dockerが一夜にしてクラウドの世界を変えられるわけではない。Brewer氏はWired.comに対して、Dockerコンテナを利用するには各マシンに“ほんのちょっとしたソフト”の追加が必要で、そのソフトがLinuxのどのバージョンでも同じように動作しなければならない。そして、「まだ完全ではなく、この部分はGoogleと開発者コミュニティの両方の努力がなお必要」と述べている。また「一つのOS上で動作しているコンテナは、他のOS上では動かないかもしれない」といった課題がある。

 一方、Dockerクラスタを実現するソリューションは、Kubernetesだけではない。スタートアップのMesosphereが開発しているクラスタ管理ツール「Mesos」は昨年秋、Dockerに対応している。また、デフォルトでクラスタリングをサポートし、Dockerをはじめから実行環境として利用できるLinuxディストリビューション「CoreOS」も開発中だ。これらの中から、どれが実際に利用されるようになるのか、まだ見えてこない。

 それでもGoogleが推進するKubernetesは、Dockerのクラスタリング運用では、有力な選択肢になる。実際にどれだけ使えるかは今後の検証を待たねばならないが、開発者とプロバイダーの両方を魅了しそうだ。

 コンテナとクラスタリング――。クラウドが向かう方向性として間違いないと考えてよいだろう。

岡田陽子=Infostand