Infostand海外ITトピックス

Windows無償化でモバイルに挑む Microsoftのデバイスとサービス戦略

Google的ビジネスモデルへ

 Microsoftからみると、9インチ以下無料化はAndroid対抗に向け「必要とされていた」(Wired)措置だ。「スマートフォンとタブレットで課題に直面しており、成長のためには戦略の変化が必要だった。だから理にかなった良い動きだ」とFBR Capital MarketsのアナリストはReutersにコメントしている。だが、これだけでは不十分だ。果たしてOEMが関心を示すのか、Microsoftが今後どのようにビジネスモデルを変えていくのか、など課題は残る。

 9インチ以下のデバイスを製造するOEMにしてみれば、これでやっとAndroidと価格の面で条件が同じになったに過ぎない。エコシステム(アプリ)ではAndroidに軍配が上がる状況は同じだ。またWiredは、Androidのようにオープンソースにするかどうかはわからない点を指摘。「ハッキングできないとなると、Androidのように広まるだろうか」と疑問を投げかける。

 ビジネスモデルについては、今回の無償化が直接与える影響は少ないとみてよさそうだ。Microsoftはこれまで、Windows Phoneのライセンス料金を明かしていないが、メディアは5~30ドル(1台当たり)程度と推測している。スマートフォンでのシェアが約3%、タブレットのシェアが約2%と考えると、収支に大きなダメージはないだろう。事業規模が大きいデスクトップはこれまで通り有料継続だが、Extreme TechはGoogleのノートPC向け無償OS「Chrome OS」のシェアが伸びている点を指摘し、「もっと柔軟になるべきかもしれない」と予想する。

 WiredはMicrosoftの動きを「Googleのような企業運営モデルに変えていこうとしている」と分析する。「デバイスとサービスカンパニー」の「サービス」の部分であり、OSライセンスからクラウドサービスへの事業モデルの転換だ。

 WiredはMicrosoftの選んだ戦略の正しさは認めながらも、コンシューマー向けでのGoogleやApple、エンタープライズでのIBMなどの競合を挙げながら「容易ではないだろう」と予測する。「さまざまな競合ベンダーからではなく、Microsoftから(サービスを)購入するように消費者や企業を説得する、それ自体が簡単なことではない。だが、少なくともMicrosoftはやらなければならないことに気づいた」という。

(岡田陽子=Infostand)