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「モノのインターネット」活発化 課題は標準化やビジネスモデル (標準、ビジネスモデルの欠如)

標準、ビジネスモデルの欠如

 他方、ビジネスとしてのIoTへの期待も高まりつつある。ネット対応端末向けのプラットフォーム技術を提供するAyla Networksは6月初め、計540万ドルを複数のベンチャーキャピタルから調達したと発表した。また、スマートフォンでドア、温度センサーなどを操作・制御する技術を持つSmartThingsはクラウドファンディングのKickstarterで120万ドルを調達している。

 Gigaomによると、この数カ月でAylaのようなIoTのプラットフォームを提供する企業が続々と生まれているという。GigaomはElectic Imp、ThingWorx、Carriotsなど5社を挙げながら、“ゴールドラッシュ”だと形容する。しかし、技術面での大きな壁となっている標準化が進む気配は、まだない。

 ReadWriteは「ネットに接続するだけでは不十分で、端末同士のやりとりが必要」とし、そのための共通語がないと指摘する。スマートフォンはiOSとAndroidに集約できるが、IoTでは標準的なプラットフォームがない。現時点では、関連するメーカーなどのサーバーに接続するしかない。

 Wall Street Journalは関連して、価値の創出、参加企業が価値をとらえられるビジネスモデルが欠如していると指摘する。Pilu氏は、公共インフラでのIoTについて調査した結果、現在閉鎖的なシステムに保管されているデータを公開するにあたってのメリットが不明確であり、これが後ろ向きの態度につながっていると分析している。

 一方、技術面で明るい話もある。無線通信の電力確保向けに、歩行をはじめとした人間の日常の動作からどのぐらいの電力を得られるのかを研究しているコロンビア大学のMaria Gorlatova教授は、実環境での実験から、多くの人が毎秒1Kb程度を伝送できるのに十分な電力(5マイクロワット以上)を発電できると割り出した。これを報じたMIT Technology Reviewは「IoTの時代が近づいており、電力問題は以前のような障害にならないだろう」と述べている。

 長い黎明期が続いたIoTだが、いよいよ次の局面を迎えていると考えてよいだろう。Gartnerのハイプサイクルでは、IoTは現在「黎明期」の終わりにあり、次は「過度な期待のピーク」になるとの予想だ。

岡田陽子=Infostand