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Jobs氏の生前の言動が明らかに 10年ごしのiPod訴訟

 AppleのSteve Jobs氏はカリスマとして業界に多大な影響を与え、時代をつくってきた。その先見性はしばしば賞賛されるが、他方で強引で強烈な面があったことも知られている。12月初め、Appeleが係争中の訴訟で、生前のJobs氏のメールが証拠として提出された。未公開の言動の一部が明らかにするものだが、彼の強烈な部分をうかがうことができる。

「iPod」と「iTunes」の集団訴訟

 訴訟は「iPod」と「iTunes」をめぐる独禁法訴訟で、2005年にさかのぼる。Appleは「iPhone」以前、デジタル音楽プレーヤーのiPodとオンライン音楽ストアiTunesで音楽の販売に変革を起こした。このiPodとiTunesの成功によって、パソコンの世界から出て、コンシューマー家電で不動の地位を築き上げていった。

 訴訟は、2006年から2009年にiPodを購入した消費者の集団訴訟で、原告側はAppeleがiPodとiTunesでAppleが競合製品に閉め出し戦略をとったとして損害賠償を求めている。原告側の主張によると、AppleはiPod上の楽曲を他メーカー製のデジタル音楽プレーヤーに移行できないようにしており、競合他社を自らのエコシステムから閉め出してiPodの価格をつり上げることに成功。またiTunesで購入した音楽はiPodでしか再生できず、他で購入した音楽をiPodで再生することも不可にしたという。

 2006年当時のiPodの価格は79ドル~349ドル。2006年9月から2009年3月までの販売台数は計約1億5000万台だった。原告は再販時業者向けに2.3%、小売り顧客には7.5%割高だったとし、計3億5200万ドルの損害賠償を求めている。もし独占禁止法違反が認定されてAppleが敗訴した場合、法の下で損害賠償金額は3倍になるという。

(岡田陽子=Infostand)