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Virtustream買収 ハイブリッドクラウドを目指すEMC

フェデレーションかスピンオフか

 多くがVirtustreamの買収に納得する一方で、EMCのハイブリッドクラウド戦略についてはまだ不足しているという声も出ている。投資銀行FBR&Co.のアナリストはBloombergに対し、「幅広いハイブリッドクラウドポートフォリオにより、EMCは範囲を拡大できるだろう。クラウドにおけるEMCの動きは評価しているが、次の成長のためにはさらなる買収統合が必要だと見ている」との見解を述べた。

 Technology Business ResearchのアナリストKrista Macomber氏は、クロスセルのチャンスなどを認めつつも、EMCのクラウド分野での売り上げの8割がクラウド構築のためのハードウェアとソフトウェアにとどまっており、“アズ・ア・サービス”ベンダーへの変革はまだ道半ばである点を指摘する。「EMCは引き続き製品中心のベンダーであり、クラウドサービスにポートフォリオを積極的にシフトさせるのではなく、顧客のクラウドへのマイグレーションや、構築・管理の支援にフォーカスするだろうと見ている」とMacomber氏は記している。

 ハイブリッドクラウド戦略は、同社に2014年秋に持ち上がった分社化へのEMCからの回答だ。当時同社の株主であるElliot ManagementはEMCに対しVMwareのスピンオフ(企業分割)を求めた。EMCのCEO、Tucci氏はそれを拒否しながら、措置協定として取締役会に2名を迎え入れることにした。

 今回のVirtustreamの買収はスピンオフを回避し、VMware、Pivotalで構成されるフェデレーション(企業連携)を推し進めることを改めて示すものとなるが、この方針にはいまだに疑問もあるようだ。

 投資会社FBR CapitalのアナリストはWall Street Journalに対し、「(Virtustreamの買収を)金融市場はネガティブに受け取るだろう。われわれの意見では、株主の価値を強化するにあたってVMwareのスピンオフが正しい方向だと信じている」と述べている。

 クラウドは、既存ベンダーにも変革を強いている。EMCは5月初めに開催した年次イベント「EMC World」で、フェデレーションのメリットを強調した。その直後のVirtustreamの買収は、ハイブリッドクラウドベンダーへの強い意思を示すといえる。

岡田陽子=Infostand