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広島県連、タブレットを活用したモバイル経営支援システムを導入、富士通が支援

小規模事業者向けの経営支援活動を拡充

 広島県商工会連合会(以下、広島県連)は9日、広島県内の小規模事業者の経営支援強化を目的として、富士通株式会社と株式会社富士通マーケティング(以下、FJM)が構築した、小規模事業者向けモバイル経営支援システムの運用を開始したと発表した。また富士通とFJMは、ICTによる地域の総合振興を支援するため、このシステムを「FUJITSU ビジネスアプリケーション 商工会ポータル」として商品化し、10月に提供開始する。

 県内34地域の商工会の連合組織である広島県連は、地域の総合振興を目的に、経営支援、街おこし・村おこし、創業支援、ICT導入支援などの活動を行っている。また、小規模事業者への経営支援として、各地域の商工会に所属する経営指導員約140人が、経営・労務・金融・税務に関する指導や、補助金申請代行・税申告支援などを実施してきた。しかし、こうした経営指導は従来、紙ベースで行っており、指導の標準化や指導員間での情報共有、事業者のニーズに合わせたタイムリーな情報提供、支援活動の効率化などが課題になっていたという。

 そこで広島県連は、タブレットを活用した経営支援活動のさらなる拡充とコミュニケーション強化を目的に、富士通のタブレット活用クラウド基盤「FUJITSU Cloud PaaS MobileSUITE」(以下、MobileSUITE)とCRMソリューション「FUJITSU Business Application CRMate」を用いて構築された、モバイル経営支援システムを導入した。

 経営指導員が小規模事業者を訪問する際、GPSで検出した近隣の訪問先一覧がタブレット上に表示され、訪問先を選択すると、訪問日時や訪問者などが事業者別のカルテに記録される。訪問先が不在の際も履歴として記録されるため、訪問実績を見える化できる効果があるという。

 訪問先では、過去のカルテや必要な情報を閲覧しながら経営指導でき、使用したデータもカルテに自動的に記録される仕組み。さらに、これまで各経営指導員が個々に紙ベースで記録していた重要事項や気づきは、手入力に加え、「経営者交代」「業態変更」などあらかじめ用意した定型ボタンを活用することで、確実に登録できる。

 訪問終了後は指導終了ボタンをタップするだけで、小規模事業者へアンケート付きのメールを自動発信できるほか、小規模事業者向けにモバイル端末で利用可能な商工会情報配信システムを新たに提供する。これまでは経営指導員が直接行っていた、県内の成功事例の紹介や研修会の案内といった各種情報提供、アンケート収集がモバイル端末で可能となり、コミュニケーション活性化と、県内に点在する小規模事業者に対してもタイムリーな情報提供を実現できるとした。

 さらに、蓄積した情報をもとにした活動分析など、効果的な情報活用や他県との情報連携強化が可能。タブレット導入で必須となるID管理、端末管理、紛失対策などの各種機能はMobileSUITEで一括提供するため、システム管理者が集中管理でき、経営指導員の負荷を軽減するとともに、安心、便利な情報活用を実現している。

石井 一志