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Wi-Fi Alliance、WiGig認定ロゴを発表~認定プログラムは2014提供開始
(2013/9/10 15:18)
Wi-Fi Allianceは9月10日、相互運用性プログラムで承認するWiGig製品の認定ブランド名を「WiGig CERTIFIED」とすると発表。合わせて認定ブランドの新ロゴを発表した。
ロゴはWiGig認定ロゴと、WiGigとWi-Fi統合ロゴの2種
Wi-Fi Allianceの相互運用性プログラムの拡張として、正式にWiGig CERTIFIED製品が加えられた形になる。WiGig CERTIFIED製品は60GHzの周波数帯を使用し、最大7Gbit/秒の速度と低遅延のトラフィック、周辺の端末間のセキュリティで保護された接続性を提供する。WiGigとWi-Fiは、両方の技術を1つの製品に実装することにより、WiGigの接続可能エリアから外れた場合にはWi-Fiに自動で切り替わるなど、シームレスに切り替えて利用できる。
Wi-Fi Allianceは、最初の相互運用性認定プログラムを2014年にリリースする予定。最初の認定プログラムは相互運用可能なWiGig接続(MAC/PHY)を実証するもので、端末間の基本接続における相互運用性を担保する。
Wi-Fi Alliance マーケティング&プログラムマネジメントディレクター ケリー・デイヴィス フェルナー氏は、相互運用性認定プログラムの中でも「FST(Fast Session Transfer)と呼ばれる技術は重要な要素となっており、これを用いることによって、2つの技術をシームレスに切り替えることができるようになる。WiGigのエリアから外れた場合に、Wi-Fiに自動的に切り替えが行われる」と説明した。
FSTは標準化作業が勧められている60GHzの周波数帯を使う無線通信規格IEEE 802.11adに追加された技術で、60GHz帯での高速通信中に、60GHz帯での通信が利用できなくなった時に、シームレスに2.4/5GHz帯に切り替えることを可能にするもの。
WiGigは、標準化作業中のIEEE 802.11ad規格をベースとして、WiGig Allianceが開発した通信規格。60GHz帯を使用し、最大7Gbit/秒の高速通信が可能だが、利用可能な範囲は10メートル未満と狭く、また壁などは乗り越えられないという特徴を持つ。基本的にひとつの部屋の中での機器接続に利用するイメージだ。一方802.11n/acは、速度的にはアンテナ3本で最大1.3Gbit/秒だが、壁を乗り越えられ、距離的には200メートルくらいまでをカバーできる。
それぞれ異なる特性を持つ2つの通信技術をシームレスに運用することで、近距離では4K映像も伝送可能な速度を実現しながら、より広範囲な接続性を提供可能としようという技術がFSTだ。
認定ロゴは、WiGig単独の認定ロゴと、WiGigとWi-Fi両対応の製品に付される統合ロゴの2種類が用意されるが、無線アクセスポイント製品などではほぼすべてが両対応となると見られる。
Wi-Fi Allianceは550以上のメンバー企業を要する業界団体で、日本のメンバー企業も現在105社に上る。メンバー企業の開発製品を元に認定プログラム実施など相互接続性を担保する活動を行っている。WiGig AllianceとWi-Fi Allianceは当初別に活動してきたが、2013年に入ってWiGig AllianceをWi-Fi Allianceに統合することが発表された。
ディスプレイやUSBなど拡張デバイス認定プログラムは2015年の提供を予定
また、Wi-Fi Allianceでは、データ、ディスプレイ、オーディオアプリケーションの60GHzでの実装に対応するプロジェクトを立ち上げた。具体的には、家庭やオフィスでケーブルを使わずに周辺機器やディスプレイなどに接続するドッキング技術、部屋を隔てたデバイス間で非圧縮ビデオをストリーミングやミラーリングする技術、ワイヤレスのシリアル接続を提供するシリアルバス、SDやPCIe経由の入出力を扱うプロジェクトなどで、これらの拡張デバイス認定プログラムは2015年の提供を予定している。
これらの拡張デバイス認定プログラムの提供に向けて、Wi-Fi Alliance は、USB Implementers Forum(USB-IF)およびVideo Electronics Standards Association(VESA)と連携。
Wi-Fi AllianceはWiGig Serial Extension Specification(WiGig シリアル拡張仕様)をUSB-IFに正式移管した。USB-IFは、Media Agnostic USB Specification(メディア非依存のUSB仕様)を開発するための基盤としてWiGigシリアル拡張仕様を使用する計画だ。
また、VESAと連携協定を締結し、WiGigディスプレイ拡張仕様の作業を進めていく。WiGigディスプレイ拡張仕様4Kテレビなど高画質伝送を必要とするAV機器などでのワイヤレス接続用途を想定している。
デモ
発表会では会員社のWilocity社およびDisplayLink社の協力を得てデモも行われた。
1つは、PCで4K映像をビデオ再生し、ディスプレイに表示するというもの。PCから4K映像をWiGig対応ドッキングステーションに送信し、ドッキングステーションとディスプレイはディスプレイケーブルで4K接続することで高画質伝送デモを行った。
なお、WiGig対応ドッキングステーションは、DellがLatitude 6430u用として2013年2月に249ドルで発売するなど、すでに民生品が市場に出ている。
もう1つは、WiGig(802.11ad)対応でストレージを内蔵した無線LANアクセスポイントを使った高速伝送のデモ。11adと、11n両方のリンクを張り、スピードを比較するというもの。11nでファイル転送が20%完了の時点で11adは97%完了と、5倍近い転送速度の実効差があることが示された。