JSTRAと富士通、リモートデスクトップ環境を用いた3次元CADの実証実験を開始

　一般財団法人日本船舶技術研究協会（以下、JSTRA）は、3次元CADをリモートデスクトップ環境で活用する実証実験を9月7日より開始する。3次元CADの利用環境を整備し、設計技術者の技術力の底上げを図るのが狙いで、システムとしては富士通が提供する「エンジニアリングクラウド」を活用する。期間は2013年3月まで。

　現在、国内外ともに多くの中小型造船会社は2次元CADを利用しているが、品質向上や生産性向上を図るために、3次元CADへの円滑な移行が求められている。しかし3次元CADは高価な上、運用を軌道に乗せるまでには多大な時間が必要とされることから、多くの中小型造船会社では新規投資に踏み切れない現状があるという。

　しかし今回の実証実験では、3次元CADの教育段階や試行段階において、JSTRAのICT設備を複数の会社が共用可能なため、中小型造船会社は大きな投資のリスクを持たずに、既存のPCで3次元CADを利用できるほか、JSTRAの支援を受けながら確実なステップアップを図れる。

　一方JSTRAにとっては、これまで課題となっていた中小型造船会社の設計者スキルの底上げ環境が、今回の実験によって着手可能になるほか、操作に関するサポートを一元的にリモートで実施できるので、大幅な負荷軽減につなげられるとした。

　なおJSTRAではこの実証実験を通じて、将来の実運用も視野に入れつつ、その効果把握や課題整理を進めていくとのこと。