「デルは箱売り企業からソリューションベンダーへ順調に進化」、メリット社長が事業方針を説明
「デルは、従来のイメージであった“箱売り”の企業から、ソリューションベンダーに順調に進化している」――。デル株式会社は29日、ジム・メリット社長を囲む報道向けの説明会を開催。その中で、メリット社長は、デルのビジネスが順調であること、また、ビジネスの形態が変わっていることを強調している。
デルでは、売り上げの多くの部分を企業から上げているが、「特に、大規模のお客さまでは、(ハードウェアやサービスなどを総合的に提供する)ソリューションへの指向が特に高まっている」のが現状だという。
そして、デル自体もこれに応えるために、サービスの提供能力を増強してきた。特に、Perot Systemsの買収によってサービス提供能力が高まったことを、これまでも再三強調しているが、国内でも、テクニカルコンサルタント、テクニカルサポートなどの人材を増強し、単なる“箱売り”からの脱却を進めている。
この結果、従業員500名以上を対象とした大規模企業(LE)部門の売上高において、2007年度には47%だったソリューションの売り上げが、大きく伸長。2010年は目標値の55%を達成できる見込みという。メリット社長はさらに、「これを70%にまで伸ばしたい」としており、特にLE部門において、ソリューション企業への脱皮を果たしたい考えを示した。
ジム・メリット社長 | 大規模企業(LE)向けビジネスの最新状況 |
バリューチェーンの変革も進めているという |
一方で、デルの知名度を上げた直販による「デル・モデル」の改善も進めている。よく知られている「デル・モデル」は、詳細なBTOの選択肢を用意し、顧客からの注文を受けてから部品を調達。カスタマイズした製品を販売する、といった形態のモデルで、ユーザーはカスタマイズされた好みの製品を入手できる点がメリットとされている。
しかし、メリット社長によれば、「以前は、お客さまはカスタマイズを求めていたが、今は、シンプルな構成で、短納期な製品を提供してほしい、という要望が増えている」のだという。そこでデルでは、サプライチェーンの改善を進め、「適切な納期で、適切な場所から提供できるように、見直しを行った」とする。
具体的には、製品の構成パターンを99%削減してシンプル化し、顧客が購入することの多い構成に絞った。メリット社長はこれについて、「従来は、何百万もパターンがあって、選ぶのにも一苦労だったし、コストも高くついた。これに対して、人気の構成を提供することで、コストを下げることが可能になったし、翌営業日に製品出荷できる構成(デル特急便)も提供できるようになった」と、成果をアピール。以前からかかげる、顧客志向の方針によって、顧客満足度を高めていく姿勢を示している。
なお、年間100億ドルを超える売り上げがあるオンラインサービスに関しては、今後も強化・拡充していくとのこと。ただし、オンラインについても取り巻く環境の変化を踏まえて、よりよりパーソナルな、顧客を中心に据えた展開に変化させるとしており、TwitterやFacebookなどのソーシャルメディアについても、柔軟に取り入れているとした。
こうした方針の成果か、国内の法人ビジネスについても、2010年第3四半期には21.3%だったものが、28.1%に拡大。メリット社長は「特に昨年1年、機能や性能の面からオンラインを強化しているので、順調に売り上げが伸びている」と述べ、その成果を強調していた。