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日本郵船とNTTなど、船舶IoTの次世代プラットフォームに関する共同実験を実施

 日本郵船株式会社(以下、NYK)、NYKグループの株式会社MTI、日本電信電話株式会社(以下、NTT)、株式会社NTTデータの4社は19日、NYKグループが進めている船舶IoTの次世代プラットフォーム開発に関して、NTTが持つ陸上ベースの技術および研究開発成果を組み合わせた共同実験を開始したと発表した。

 NYKでは、IoTやビッグデータなど、最新のICT活用によるイノベーションに注力し、データ活用による最適運航や船舶機器の故障予知・予防の研究、将来の自律航行船に向けた技術開発を進めている。また、安定的かつ効率的なIoTデータの船陸間共有を目指し、船陸間通信に関する独自の高い技術力を持つノルウェーのDualogと戦略的協力関係を結び、船舶IoTの次世代プラットフォームの開発検討を進めている。

次世代船舶IoTプラットフォーム共同実験の概念図

 NTTでは、今回の共同実験において、NTTの研究成果であるIoT関連の先端技術と、NTTデータが持つAIおよびIoT関連の実績やノウハウを活用し、NYK、MTIとDualogが検討している次世代船舶IoTプラットフォームの実現をサポートする。

 NYKとMTIが研究開発を進めてきたパフォーマンスマネージメントシステム「SIMS」について、NTT研究所のエッジコンピューティング技術と、NTTデータのデータ活用ノウハウを適用することで、船上で収集した各種データをさまざまなアプリケーションで迅速に活用する。また、Dualogの船陸間データ共有技術を活用することで、安定的・効率的な船陸間のデータ、情報、アプリケーションの共有を可能とし、より高度な船舶の運航と保守管理などの安全と環境への取り組みを加速させる。

 これまでのSIMS開発、運用で判明した技術的な課題、およびユーザーとして定義した運用・技術要件をベースに、安定的かつ効率的な船舶IoTプラットフォームを開発する。プラットフォームは、一般社団法人日本舶用工業会が中心となって取り組んできた船舶IoT分野に関する国際標準規格化に対応し、日本や欧州の船級協会が推進するデータセンター構想と連携する。

 NTTがこれまで研究開発を進めてきたエッジコンピューティング技術を船舶IoTプラットフォームに適用することで、船上の各種アプリケーションを配信・管理し、多種・多様な機器とアプリケーション間の高速なデータ交換とリアルタイムな分散処理を可能にする。NTTデータがこれまで積み重ねてきたデータ分析に関する実績や、NTTグループのAI技術「corevo」などを活用し、次世代船舶IoTの実現に貢献するIoTソリューションを提供する。

 また、Dualogが開発してきた、特定の衛星通信プロバイダーに依存せず安全かつ安定的に船陸間データ共有を維持する技術を利用し、船陸双方で様々なデータとアプリケーションを効率的に利用できる次世代船舶IoTの実現に貢献する。

 4社では今後、NYK、MTIが持つ現場力や課題解決力と、NTTが持つIoT関連の先端技術やNTTデータのICTソリューションを掛け合わせることで、ICTを活用した船舶IoT分野におけるイノベーション創出に向けての取り組みを進めるとしている。