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NTT、「引っ張られる感覚」を使った屋内ナビゲーションに関する実証実験を開始

 株式会社NTTデータ、NTTデータイタリア、日本電信電話株式会社(以下、NTT)は13日、牽引感覚(引っ張られる感覚)を生成する装置を利用してユーザーのナビゲーションを行う「触覚を使った屋内ナビゲーション」に関する実証実験を開始すると発表した。

 NTTデータイタリアがパートナーシップ契約を締結しているイタリアGiPStechの地磁気を用いた屋内測位・ナビ技術と、NTTが開発した触覚刺激による牽引感覚生成技術「ぶるなび」を組み合わせることで、安価で直感的な触覚屋内ナビゲーション技術を実現した。

「触覚を使った屋内ナビゲーション」概要

 屋内測位・ナビ技術は、自然の地磁気を活用するため、新たにアクセスポイント(無線LAN)など測位に向けた設備を設置する必要がなく、導入時の初期投資を抑えることが可能。地磁気を用いたナビゲーション技術は、エレベーターの接近など磁場の乱れの影響を受けやすいという課題があるが、独自のアルゴリズムにより影響を極小化し、高い精度でナビゲーションできる。

 「ぶるなび」は、特殊な非対称振動により牽引感覚を生成する技術で、画面への表示ではなく、振動方向でユーザーにナビゲーションすることが可能。今回は、スマートフォンケースの形状で効率的に非対称振動を伝える技術が新たに加わり、複数デバイスを持つことなく、ナビゲーションを実現できるようにした。

システム構成イメージ

 実証実験では、屋内測位・ナビ技術を用いたアプリを入れたスマートフォンから、「ぶるなび」が搭載されたスマートフォンケースに進行方向をBluetooth経由で指示することで、直感的な誘導を実現する。これにより、暗闇・煙霧などでの安全ルートのナビゲーションや、商業施設でのバリアフリーな購買誘導などが可能になるとしている。

 実証実験は、2017年2月16日~17日開催の「NTT R&Dフォーラム」において、来場者に「触覚を使った屋内ナビゲーション」を使用した会場での誘導サービスを展示。さらに、2017年春頃に、イタリア国内の製造業の顧客と実証実験を予定しており、暗闇や煙霧の状況からの避難誘導の有効性について、方向指示の制御性としてリアルタイム性や体感精度、ユーザビリティー評価として多軸化の必要度、端末形状、ナビ精度の向上性などを確認する。

 NTTデータ、NTTデータイタリア、NTTの3社は今後、「触覚を使った屋内ナビゲーション」の有効性や改善点など、2017年6月末までの実証実験で得られた結果を踏まえ、性能の向上や新たな商用サービスの提供について検討していくとしている。