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HPがEucalpytus買収 狙いは? OpenStackとの関係は?

なぜHPはEucalyptusを買収するのか?

 一方で、OpenStack陣営のHPは今年5月、10億ドルを投じてOpenStackを強化していく戦略を打ち出したばかりだ。その柱はパブリッククラウドの「Helion」。パブリッククラウドのほか、プライベートクラウド管理ソフトウェアも用意し、ハイブリッドクラウドにも対応する。基盤技術はOpenStackで、実際に次期版「OpenStack Juno」でHPは、最多貢献企業の座をRed Hatから奪っている。

 こうした経緯と関係を考えると、今回の買収には「なぜ」という疑問が出てくる。クラウド業界の専門家、David Linthicum氏はInfo Worldのコラムで、「クラウドコンピューティング・コミュニティでの最初の反応は『何だって?』だ」と言う。

 同時にLinthicum氏はいくつかの分析を披露している。まず、「プライベートクラウド版のAWSは良い考え」であり、いずれはパブリッククラウドに移行すると考えられているが、その時期が後にずれ込んでいるというクラウドの現状だ。クラウドにおいてHPは大きな進展を遂げておらず、今回の買収によって、競合ひしめくクラウド業界に自社の成果を示すことができる、というのだ。

 Eucalyptusを通じたAWSとの関係も着目される。Linthicum氏は、HPがAWSと共同でEucalyptusを提供することはないだろうとしながら、Eucalyptus買収で「AWSと互換性のある唯一のプライベートクラウド選択肢を市場から消すことができる」とした。

 eWeekも同じ見方を示している。「Amazonとの互換は特徴の1つではあるが、プラットフォームではない。Eucalyptusのライフスパンはそう長くないだろう」とした上で、HPの買収は「競合を消すという点でOpenStackコミュニティにとっては良い動きだ」とした。一方で、Eucalyptus存続の可能性として、HPが「CloudMatrix」として複数のクラウド技術をサポートするプラットフォームを有している点を挙げている。

 これに対し、Information WeekはEucalyptusを利用することでAWS上のプライベートクラウドとHelionが連携可能になると指摘する。Eucalyptusはさまざまなハイパーバイザーをサポートしており、Helionだけでなくさまざまなプラットフォームとも統合可能な技術的メリットがあるという。

 Info Worldもハイブリッドクラウド強化と読んでいる。ZDNetは、「Eucalyptusはハイブリッドクラウド技術を提供することで、HelionのOpenStackクラウドとAWSのパブリッククラウドとの間を結ぶものになるだろう」と予想している。

(岡田陽子=Infostand)