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ついにハードウェアを手にしたMicrosoft Nokia買収という賭け (OEMとの関係、CEOの交替)

OEMとの関係、CEOの交替

 MicrosoftのNokiaの買収は、単にデバイスとサービスカンパニーに向けた戦略だけでなく、他のOEMとの関係からも分析できる。Nokia以外にWindows Phoneスマートフォンを製造するメーカーは、HTC、Samsung、LG、Huawei Technologiesなどがあるが、MicrosoftがNokiaを飲み込むことで、これらのメーカーとの関係はどう変わるのだろう。

 Microsoftはスライドで、「既存のOEMとの関係は継続」「Microsoftの成功はOEMのチャンスを拡大する」と説明しているが、Wall Street Journalは「ハードウェアベンダーに不確実さを生む」というCanalysのアナリストの意見を紹介する。さらには、スマートフォンだけではなくタブレット、さらにはノートPCでも緊張が生まれるのではないか、と言う。

 例えばLenovoはノートPCとタブレットでWindowsを採用しているが、一部のタブレットとスマートフォンはAndroidだ。Microsoftとの関係次第では、タブレットがAndroid一本になるかもしれない。

 BGRは別の角度から分析している。MicrosoftがNokiaを抱えた後、高い金額を払ってMicrosoftのソフトウェアをライセンスする価値がないとOEMが思ったとするなら、MicrosoftはAndroidのようにライセンスフリーにするか、Appleのようにタイトに制御するか、どちらかになるだろうとする。その上で、おそらくAppleモデルになると予想する。

 New York Timesはモバイルだけでなく、Microsoft全体の状況を検証した。業界が変化しているだけでなく、13年間CEOを務めたBallmer氏が1年後に退任するという大変化を迎えている。こんな時期に、Nokiaを買収することはリスクになるという。PalmやAppleの幹部を務めた経験のあるMichael Mace氏は「マネジメント層の再編を進めると同時にNokiaを吸収しなければならず、複雑さが増す。一方で、Windows 8の活気も出ないままだ」と同紙にコメントしている。なお、Microsoftに戻るElop氏は後継CEOの有力候補に挙がっている。

 MicrosoftのNokia買収で、Apple、Google、Microsoftというハードウェアとソフトウェアを有する3大勢力時代に入る。Wall Street Journalは「ハードウェアは死んだ、ソフトウェアも死んだ」というタイトルで今後を展望。GoogleのMotorola買収とMicrosoftのNokia買収によって、「本当に融合された世界に入った」とする。

 そこでは、「形と機能の差異は消えてしまい、ソフトウェアがハードウェアで、ハードウェアがソフトウェアだ」というのだ。新しい世界では規模がより重要になり、ネットワーク事業者が勝者になる、と分析している。

 新しい時代がはじまりつつあるというのだ。

岡田陽子=Infostand