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ポストスマートフォン時代の幕開けか? GoogleのNest買収

 継続的に企業買収を続けているGoogleが1月13日、新たな企業買収としてNestを買収すると発表した。温度調節機などのスマートホーム製品を手がけるベンチャー企業だが、なんと32億ドルを現金で支払うという。Googleの買収史上トップレベルの額を払って何を手に入れるのか、この買収が市場に与える影響はなにか――。

Nest、Apple出身者が創業した「スマートホーム」ベンチャー

 32億ドルは、2007年にGoogleが買収したDoubleClickの額をさらに1億ドル上回る。You Tube(16億5000万ドル)の実に2倍近く、特許込みで高価だったMotorola Mobility(125億ドル)を除けば、Googleにとってもトップクラスとなる。

 Googleがそれほどの評価額をつけたNestとはどんな企業だろう。Nestは2010年創業のスマートホーム分野のベンチャー企業で、温度調節機(サーモスタット)の「Nest Thermostat」、煙探知機「Nest Protect」などの製品を持つ。“次世代の温度調節機”とうたうThermostatは、居住者のスケジュールを学んで最適な温度を自動調節できるほか、スマートフォンを利用して遠隔からの操作も可能だ。これらの機能によって温度調節関連のコストを20%程度削減できるという。またシンプルな操作、これまでのスマートホーム製品とは一線を画す美しいデザインも大きな特徴だ。

 NestはKleiner Perkins Caufield & Byers(KPCB)などのベンチャーキャピタルの出資を受けている。スマートホームの将来性に加え、Nestが有望視されている理由は、CEOのTony Fadell氏と開発トップのMatt Rogers氏の2人の共同創業者の存在だ。両氏はともにApple出身で、Apple時代に「iPod」「iPhone」を手がけた。

 Googleはこの買収で、スマートホーム分野の技術に加え、Fadell氏とRogers氏というApple出身者も獲得することになる。GoogleとNest両社によると、Nestは今後も従来通りFadell氏の下でNestブランドを維持し、事業を継続する。Thermostatなどの製品販売やサポートを継続し、iOS向けアプリなどもそのままだという。

(岡田陽子=Infostand)