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リコーとエトリア、新循環型モノづくり「Circular New」を発表 部品資源を活用し最新世代機を製造
2026年10月6日 06:15
株式会社リコーおよびエトリア株式会社(ETRIA)は5日、循環型の新たなモノづくりコンセプト「Circular New」を打ち出した。第1弾として、リコーのA3モノクロ複合機「RICOH IM 6010/4510/3510/2510」に同コンセプトを適用し、2027年4月から日本および欧州で提供を開始する。
リコー コーポレート専務執行役員 リコーデジタルプロダクツビジネスユニット プレジデント兼エトリア 代表取締役社長執行役員の中田克典氏は、「リコーは、『資源をもとに戻す』という循環から、新たな価値を生み出し、『進化する循環』へと舵を切ることになる。Circular Newは、環境への配慮と製品の進化の両方を高めるコンセプトであり、資源循環を環境保全活動ではなく、モノづくりにおける圧倒的な競争力へと結びつけるものである。リコーは、次世代の循環型ビジネスへとギアチェンジする」と、新コンセプトの狙いを示した。
これまでの再生ビジネスは、リースが終了した5~7年前の複合機を、そのまま再生して販売したり、一部をマイナーチェンジして販売したりという方法だったが、昨今のデジタル化やセキュリティ意識の高まりによって求められる機能が高度化しており、7年前の製品の再生ビジネスでは、これらのニーズに対応できないという問題が生まれている。さらに、地政学リスクや物流網の混乱により、安定供給に対する重要性が高まっているという背景もある。
「Circular New」では、部品を共通化し、これを生かしながら別の機種を生産するという仕組みであり、使用済み製品を元の状態に戻して市場へ届けるのではなく、市場に存在する製品に組み込まれた資源や部品を次のモノづくりに活用し、最新世代の製品を生み出して市場へ届けることになる。
「Circular Newで提供するのは再生機ではない。最新世代機種の性能を提供し、お客さまの競争力向上といった価値を提供できる」とし、「数年前からモジュールや部品の共通化を進めてきた。過去の設計や生産の資産をノウハウとして活かしながら、次世代の製品や他機種にも展開できるようにしている。循環を前提とした設計と部品資源の活用により、新規資源使用率の低減を実現するほか、循環資源を活用しながら、最新世代として企画、開発した製品を市場に投入できる。また、集約生産と消費地生産を組み合わせた生産体制の構築や、安定した製品供給も実現できる。環境のために性能を選ぶことがなく、性能のために環境目標をあきらめない仕組みが構築できる」と説明した。
今後、Circular Newによって提供する製品領域を拡大するほか、生産拠点をグローバルにも拡大し、「設計、部品調達、生産、サービスに至るまで、Circular Newのコンセプトを広く適用していく」と述べた。
「Circular New」を支える3つの特徴
「Circular New」では、3つの特徴を打ち出すことができるという。
ひとつめは、「部品資源を次の製品に活かす設計」である。
リコーでは、2000年代までは機種ごとに個別のプラットフォームで製品開発をしていたが、2010年代からプラットフォームの集約を開始してきたという。2027年度からは、カラー機およびモノクロ機までを含めて共通化を進める予定であり、これによって、部品資源を次の製品へ活用できる範囲を拡大するという。
エトリア 取締役 常務執行役員 BSP本部長の高橋豊氏は、「共通化に向けては、部品やモジュールの一元管理を行う設計システムおよび共通データベースの構築、共通化設計ガイドラインによる設計ルールの整備、循環を前提とした企画提案による開発プロセスの標準化を進めてきた。これが、Circular Newを実現するベースになっている」と説明する。
長い歳月をかけて、プラットフォームの共通化と、共通設計の仕組みづくりを進めてきたことで、部品資源を次の製品に活用できる環境が構築できたというわけだ。
2つめが「新たな価値を加え、最新世代へ」という取り組みだ。
最新世代の製品に求められる機能、品質を備えながら、循環可能な部品資源をモノづくりに活かすことになる。
Circular Newによって作られた新製品では、読み取り速度を240/120ipmから300/150ipmに高速化し、名刺対応や重ね折り、針なし綴じなどへの対応を図る。また、NIST対応などによって業界トップレベルのセキュリティ対応も可能だ。
「技術の進歩によって、業務プロセスの効率化を支援できる。同時にセキュリティ面でも安心して利用できる環境が実現できる」という。
また、資源を有効活用できる消費地生産へと移行できることも強調。「従来のリニアなモノづくりでは、材料や部品の製造から集約生産を経て製品化し、消費地に運ぶという方法であり、天然資源の枯渇や輸送時のCO2排出、レアアースの調達の課題などがある。それに対して、Circular Newによるサーキュラーなモノづくりでは、消費地の域内にある製品や部品を資源として活かし、市場の近くの生産拠点で、次の製品へと循環させることができる」と述べた。
3つめが、「循環と経済性を両立する生産」である。
分解および組み立てしやすい構造により、作業工程を効率化するとともに、部品の状態や使用履歴から、最適な活用方法を判断できるようにするために、データによって部品を見極める生産システムを採用。市場の近くで生産することで、部品および製品の長距離輸送コストを抑制できるという。
「分解および組み立てのしやすさ、データの活用、物流の効率化を追求することで、工程を減らし、無駄を減らし、輸送を減らすことができる。Circular Newでは、単に新製品を開発、生産するよりもコストを低く抑えたいと考えている。昨今の電子部品コストの上昇は、Circular Newによるコスト削減に対して追い風になっている」とし、「循環と経済性を両立する生産を実現する」と述べた。
第1弾製品「RICOH IM 6010/4510/3510/2510」
Circular Newの第1弾となるのが、リコーのA3モノクロ複合機「RICOH IM 6010/4510/3510/2510」である。
まずは、全世界向けに出荷する製品の生産をアジアの基幹工場に集約し、量産効果を発揮できる「集約生産」でスタート。新規資源使用率は約76%としているが、2027年4月からは、地域で回収した部品資源を活用し、消費地に近い場所で循環生産する「消費地生産」にシフトし、日本の御殿場事業所と、フランスのETRIA MANUFACTURING FRANCE S.A.で生産する。
「環境への意識が高い日本および欧州から展開する。フランスの生産拠点は、トナー生産や複合機のセットアップの拠点であり、複合機の生産を行うのは、今回が初めてとなる。新たに生産機能を立ち上げることになる」(エトリアの高橋常務執行役員)とした。
消費地生産では、新規資源使用率を業界最高水準となる21%にまで低減。カーボンフットプリントは集約生産に比べて最大25%削減するという。なお、従来のモノクロ機の新規資源使用率が約93%、最新カラー機では約77%だったという。
「複合機では、経時劣化しにくい電子部品を数多く使用しており、それを活用できる。また、再利用しても劣化しない材料は使用することになる。交換しなくてはならないのは、摺動部のパーツや、外装に使用しているプラスチックなどの劣化しやすく、傷がつきやすく、色が変わる部分である。プラスチックなどは、マテリアルリサイクルに回すことになる」としたほか、「新規資源利用率21%の部分は、いままでの部品では、新たな価値の実現が不可能な領域だといえる。最新世代にするために変える必要がある」とした。
「RICOH IM 6010/4510/3510/2510」では、複数の生産地で、異なる生産方式を用いているが、どこで生産しても同一の品質、性能、保証を提供することができるという。
ETRIAの役割とリコーが培ってきた資源循環の基盤
ETRIAは、複合機などの開発および生産を行う企業で、2024年7月に、リコーと東芝テックの合弁会社として設立。2025年10月には沖電気工業(OKI)が参画。ETRIAが開発および生産する複合機向けの共通エンジンを、リコー、東芝テック、OKIに供給し、各社が独自のコントローラーやソフトウェアを搭載して、それぞれのブランドの複合機として製品化する。共通エンジンは、2027年度から供給を開始する予定だ。
今回発表した、モノづくりにおける資源循環の取り組みは、ETRIAの設立当初から掲げてきた方針のひとつで、製品の企画、設計から生産、利用、回収、再活用までをひとつの循環としてとらえ、従来のリニア型モノづくりを、サーキュラー型モノづくりに転換することになる。
なお、東芝テックやOKIに対して、数カ月前にCircular Newに関する説明を行っており、各社の製品にこの仕組みを適用できるかどうかを検討しているという。
また、リコーでは長年にわたりESGに取り組んできた経緯がある。1994年からは、製品ライフサイクル全体で環境負荷を低減する「コメットサークル」を打ち出し、1998年には環境経営を提唱。2017年には、日本企業として初めてRE100に参加し、2020年には独自のESG目標を打ち出し、ESGと事業成長を「同軸化」する考えを示している。
すでに、欧州、日本、米州、アジア、中国において、回収・再生ネットワークを構築。グローバルで資源循環を推進できる体制を敷いている。国内では、業界団体であるビジネス機械・情報システム産業協会(JBMIA)の共同回収スキームに参画し、10カ所の交換センターを共同で運営。国内20カ所の回収拠点と8カ所の再生・リサイクル拠点を整備している。
再生機では、2025年度実績で国内外あわせて売上高320億円、5万台を販売。再生トナーボトルの事業化では、年間の新規資源使用量を190トン削減するといった効果が出ている。2030年には、製品の新規資源使用率を60%、2050年には12%にまで引き下げる目標を掲げている。
リコーの中田氏は、「資源循環は環境活動にとどまらず、リコーを支える事業として成長している。これらの取り組みがCircular Newの基盤になっている。リコーは、中期経営戦略'26において、2030年度に、エトリアのエンジンシェアで30%の獲得を目指しており、Circular Newは、この成長戦略を支える取り組みのひとつになる」と位置づけた。











