ニュース

テロ脅威を可視化、アライドテレシスが総合監視ソリューション

狙われるかもしれないG8サミットや東京五輪

青木実氏

 アライドテレシス株式会社は21日、テロや自然災害などの脅威を検出し可視化する統合監視ソリューション「Envigilant(エンビジラント)」を発表した

 昨今、国際社会において、テロや自然災害など脅威が多様化している。国内でも地下鉄サリン事件(1995年)や東日本大震災(2011年)が深い傷跡を残した。特にテロは注目度が高く人が集まる場所が狙われやすく、2016年G8サミットや2020年東京五輪が開催される日本は、イスラム過激派からテロの標的として名指しされていることもあり、厳戒態勢が求められる。

サリン事件と東日本大震災
イスラム過激派から標的として名指しされる日本

 これら物理的なセキュリティを担保するのが新製品で、「その中でも放射線や細菌などの目には見えない脅威を可視化する」(同社)のが特徴となる。

 構成要素は、独自のSDN技術を適用したIPネットワーク「AMF(Allied Telesis Management Framework)」、IT統合インフラ機器「EtherGRID」、最先端のセンサー技術、脅威を可視化するダッシュボード。センサー群で検出した脅威をIPネットワークで伝達し、解析した結果をクラウド上のダッシュボードで把握する。

 脅威を検出するセンサーは、「IPカメラ」「入退室管理」「放射線検出センサー」「バイオケミカルセンサー」の4種類(順次拡充予定)で、複数のセンサーの状態を単一のモニターに一元可視化。センサーとシステムをすべてIPネットワーク上に構築するため、複雑な専用ハードウェアが不要なほか、AMFによりすべてのネットワーク機器を仮想的な1台の機器として管理できるため、工数を抑えて運用管理できるという。

センサーは当初4種類。順次拡充する
放射線検出センサーは、一般的なIPカメラを応用。ガンマ線が通過したピクセルは明るく光る性質を利用し、光ったピクセルの量からガンマ線量を計測。アルファ線・ベータ線の検出はできないが、IPカメラを利用することで安価に構築できるのが特長
バイオケミカルセンサーは、大気の異常を検出した際に科学剤解析(GLEIA)を行う。現在大阪大学と共同開発中で2015年度中に実用化する予定

 EtherGRIDは、必要なサーバー、ストレージ、VM、OS、ファシリティを一体化して提供するもので、設計・構築・サポートサービスなどが一貫して提供される。EhterGRIDは、ロケーションサーバー、ドメインサーバー、解析サーバー、サーバー間のデータ交換を行うCDXサーバーなどの役割を果たし、各種センサーの情報を解析して相関的にダッシュボードに表示する。

AMFを適用したIPネットワーク。すべてのネットワーク機器を仮想的な1台の機器として管理できる
各種サーバー機能を提供するEtherGRID
システム構成イメージ

 ダッシュボードには、施設のフロア図上に設置された各種センサーアイコンが表示され、アイコンをクリックするとステータスが確認できる。たとえば入退室管理では最後に入退室したスタッフの「社員番号」「イニシャル」などが表示され、不審者が無理矢理通過しようとするとアラートを発する。IPカメラではダッシュボード上でライブ映像を確認することも可能だ。

ダッシュボード例。カリフォルニア州サンノゼのAllied Telesisオフィスを可視化。IPカメラ、入退室管理、放射線検出センサーが複数設置されている
ダッシュボードからIPカメラのライブ映像を閲覧

 発表会では、Allied Tellesisサンノゼ本社にて放射性物質を使って放射線を検知するデモも紹介された。

サンノゼオフィスで放射線検出のデモ。微弱な放射線を放つ放射性物質【左】を、センサーに近づける様子【右】
放射線を検出するとメールアラートが飛び、ダッシュボード上でもセンサーアイコンが赤く表示された

 「専用機で高コストではなく、いかに低コストでこうした仕組みを実現するかが重要と考え、IPネットワーク上で稼働するセンサーやシステムを開発した」(EtherGRID部長の青木実氏)。

 対象施設としては、大型商業施設、スタジアム、公共交通機関、駅、空港、病院、教育機関、官庁・自治体などを想定。センサー1台の場合の最小構成価格は1000万円程度となるが、Envigilantの価値はIPネットワーク上で複数のセンサーを統合利用することなので、実際の利用時はもう少々高価となるようだ。

川島 弘之