日立、肥後銀行3000人分の大規模シンクライアントシステムを刷新


今回稼働したシステム概要図

 株式会社日立製作所(日立)は10日、株式会社肥後銀行において、行員のワークスタイル変革を支援するシンクライアントシステム「肥銀ターミナルサービスシステム」を刷新し、本格稼働を開始したと発表した。

 肥後銀行は2011年に「肥銀ターミナルサービスシステム」を稼働。2005年に刷新した第二世代のシステムでは、融資や顧客管理システムと連動させるなど適用範囲を拡大するとともに、利用ユーザー数を拡充。行員の業務効率化に向けたシステムの改善に取り組んできた。

 今回、システム基盤のハードウェア老朽化や同時利用可能なユーザー数の不足といった第二世代システムの課題解決とITコストの削減、ワークスタイルの改革を目的に、第一世代からシステム構築を担当している日立と共同で、システムの刷新に取り組んだ。

 今回稼働した第三世代のシステムでは、システム基盤に初めてサーバー仮想化技術を活用し、全行員を対象とした仮想デスクトップ環境を有する大規模なシンクライアントシステムを構築した。

 具体的に、同時利用可能なユーザー数を従来の1600人から2000人に拡大し、システム負荷が集中する出社時間帯における仮想デスクトップ環境へのログイン時間を約150秒から約30秒に短縮した。

 またシステム基盤を仮想化したことで、物理サーバーの台数を約4分の1に削減し、大幅な省スペース化を実現。同時に、特定業務用PCなどもサーバー仮想化技術で集約し、システム全体で消費電力を約40%削減した。

 さらにワークスタイル改革の推進として、インスタントメッセージや在籍管理、Web会議などのコミュニケーションツールを新たに導入し、仮想デスクトップ環境と連携させた。

 なお、今回の第三世代のシステムでは、統合サービスプラットフォーム「BladeSymphony」のハイエンドモデル「BS2000」32台と、ミッドレンジディスクアレイ「Hitachi Adaptable Modular Storage2000シリーズ(以下、AMS2000)」を採用し、約3000ユーザー分の仮想デスクトップ環境や周辺システムを統合している。仮想デスクトップ環境には「Citrix XenApp」を利用し、XenAppを稼働させるサーバー仮想化環境に、「Hyper-V」と日立のサーバー論理分割機構「Virtage」を適用し、統合運用管理ツール「JP1」で運用管理している。

 出社時間帯におけるログイン時間の短縮は、各ユーザーのプロファイルをAMS2000に搭載したSSDに格納し、仮想サーバー間の独立性が高く負荷変動に伴う性能低下などを防止できるVirtageを活用して読み出すことで実現している。

 また、特定業務用PCの集約には、BladeSymphonyの小型高集積モデル「BS320」とHyper-Vによるサーバー仮想化環境を活用。コミュニケーションツールには「Microsoft Lync」を採用し、仮想デスクトップ環境と連携させた。

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(川島 弘之)
2012/10/11 09:00