海外拠点のITシステムは「集約→分散→集約」の3段階で進化、ベンダーは段階を踏まえた提案を~IDC Japan


 IDC Japan株式会社は29日、国内企業の海外進出に関するIT課題の調査結果を発表した。それによると、国内企業の海外での売上高や生産高比率が上がるに従って、ITにおける課題も変化しているとのこと。特にITのあり方は、3つの段階をたどって進化しているという。

 最初の段階では、海外拠点のITシステムは国内のシステムに「間借り」する形で運営されることが多いというが、段階が進むにつれ、拠点ごとに独自のシステム開発・運用を行う割合が増えてくる。

 しかしさらに段階が進み、海外売上高比率が60%を超えるようになると、そうした分散システムをもう一度集約しようとする動きが強まってくるとのことで、このように企業のグローバルなITは、「集約→分散→集約」という段階をたどって進化するとした。

 ただし再集約の動きについては、すべてのITで一斉に起こるわけではなく、インフラかアプリケーションか、またアプリケーションの中でもバックオフィス系かフロントオフィス系かといった違いによって、変化のスピードが異なってくるとのこと。

 なおITベンダーの中には、国内企業の海外進出が加速している点を踏まえて、そこにビジネスチャンスを見出すところも増えている。IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの伊藤未明氏は、こうしたベンダーを念頭に入れて、「国内ITベンダーは、海外進出を行っている企業が、現在IT進化のどの段階(集約→分散→集約)に置かれているのかを把握するとともに、将来的にはどの段階に向かっていくのかを踏まえた提案を行うべき」とコメントしている。

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(石井 一志)
2011/9/28 15:29