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NEC、クラウドシステムの耐障害性を向上させるサービス実行基盤

「WebOTX Application Server V9」を発売

 NECは30日、クラウドシステムの耐障害性・信頼性を向上させるサービス実行基盤「WebOTX Application Server V9」を発売した。

 同製品は、性能不足やメモリ不足によるシステムダウンを未然に防ぎ、耐障害性・信頼性を向上させるサービス実行基盤。「予兆を検出し障害を未然に防ぐ診断サービス機能」や「インメモリデータグリッド製品の活用」をベースとする。

 「予兆を検出し障害を未然に防ぐ診断サービス機能」は、CPU負荷の上昇やメモリ不足によるシステムダウンの予兆を自動的に検出し、同時に実行する処理を抑制することによりCPUやメモリの負荷を下げ、障害を自律的に回避。ユーザーが問題発生個所を自己診断するため、予兆検出時のシステム状況をレポートとして出力する機能も提供する。

 「インメモリデータグリッド製品の活用」では、分散メモリ技術をデータキャッシュとして活用したインメモリデータグリッド製品をバンドル提供。頻繁に更新されるデータのキャッシュとして利用することで、システムの性能と可用性を向上する。特に複数のサーバーでデータを分散保持するシステムでは、インメモリデータグリッドの活用により従来方式に比べ、Webアプリケーションのレスポンス時間を最大で1/7に短縮。また、同機能を効果的に活用するためにアプリケーション開発者向けのフレームワークとして、業務データを分散メモリに格納するためのJPA(Java Persistent API)プロバイダを提供する

 ライセンス方式も刷新し、従来の物理マシンのCPUコア数に応じたライセンスカウント方式から仮想サーバーの総CPUコア数に応じたライセンスアカウント方式に変更。従来と比較して最大約67%のコスト削減が可能だとしている。また、総CPUコア数が32以上のシステム向けに、通常より20%安価なボリュームディスカウントも新設した。

 また、新製品はJava EE 6の「フルプロファイル」「Webプロファイル」に完全準拠。用途に応じて必要なアプリケーションサーバー機能を選択して構成を最適化できる「カスタム・プロファイル」も提供する。そのほか、Java SE 7への対応やHTML5を利用するスマートデバイス向けWebアプリケーションの開発環境も提供する。

 価格は、Webベースのシステムを低コストで実現する小規模構成モデル「WebOTX Application Server Express V9」が24万円(税別)から、基幹システム向け高信頼モデル「WebOTX Application Server Standard V9」が120万円(同)から、インメモリデータグリッド製品をバンドルした大規模システム向け高信頼・高可用性モデル「WebOTX Application Server Enterprise V9」が280万円(同)から。

(川島 弘之)