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パブリッククラウドが本流へ 2016年クラウド展望

 クラウドコンピューティングの進展と進撃は2016年も続きそうだ。昨年はAWS(Amazon Web Services)が予想を上回る好業績を披露し、DellによるEMC買収計画の発表など、既存のハードウェアベンダーの再編が伝えられた。今年の注目点としては、プライベートクラウドの鈍化や、クラウド活用の新しい役割などが予想されている。

2015年は転換点

 「クラウドコンピューティング」の言葉は、2006年にGoogleのCEOを務めていたEric Schmidt氏が使ったのが始まりとされる。同じ年にAmazonのAWSが「Amazon EC2」を発表。その後の躍進ぶりはめざましい。テクノロジーメディアは2015年を、「転換点だった」(Wired.com)、「クラウドコンピューティングはメインストリームとなり、個人ユーザーから大企業まで全員にとって優先的な選択肢となった」(Network World)などと振り返っている。

 2015年のクラウド関連重大ニュースをまとめたNetwork Worldは、Zyngaが1億ドルを投じたデータセンターを含むインフラをAWSに移行すると発表したこと、DellがEMCを買収する計画を発表したこと(クラウド強化か、クラウド対抗かのアナリストの見解は分かれる)、分社化直前のHewlett-Packard(現Hewlett Packard Enterprise)が「パブリッククラウドのペースについていけなかった」ことを理由に、パブリッククラウド事業から撤退を発表したこと、などを挙げている。

 また、11月には英国の金融監督機関Financial Conduct Authority(FCA)が、フィンテック(IT技術を使った金融サービス)企業のクラウド利用を「容認できる」との見解を示したことにも触れた。

 「2016年、パブリッククラウドはストレージ、コンピューティング、アプリ、分析とあらゆることでデフォルトの選択肢になる」とNetwork Worldは断言する。これはオンプレミスを置き換える動きが、さらに活発化していくことを意味する。

(岡田陽子=Infostand)