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DockerともOpenStackとも手を組む VMwareの生き残り戦略

 仮想化ハイパーバイザーの代名詞ともいえるVMwareが、技術面と事業面で拡大を図っている。ハードウェアパートナーと提携してのアプライアンスの投入。競合すると目されてきたDockerや、Open Stackとの共存を図りながら、仮想化ベンダーから進んで、次のITトレンドの中で地歩を築こうとしているようだ。

エンタープライズ向けサービスの拡充

 VMwareは8月下旬に開催した年次イベントの「VMware World」で、「No Limits」というサブテーマの下、いくつかの重要な発表をした。

 まず、お家芸の仮想化では、仮想マシンを迅速に起動できるアプライアンスブランド「VMware EVO」を発表した。このところのトレンドである垂直統合型で、ミッドレンジ向けの「EVO:Rail」とクラウド向けの「EVO:Rack」の2種類を投入する。Dell、富士通など8社と提携した。

 EVOラインは、同社がこの1年間プッシュしているソフトウェア定義データセンターの強化と位置づけられる。VMwareは、EVOラインはハードウェアへの進出ではないとしているが、単なるソフトウェアの提供から拡大したといえる。

 組織面では、自社ソフトウェア上で動くアプリケーションについてのエンドユーザーコンピューティング事業部を、ソフトウェア定義データセンターに加えて立ち上げた。AirWatch、Desktone、CloudVolumesなどの企業買収を通じ、DaaS(Desktop as a Service)、モバイルデバイス管理、セキュリティなどの技術をそろえているところだ。

 そして、これらをクラウドが結びつける。VMwareは1年前に「vCloud Hybrid Cloud Service(VHCS)」としてクラウドインフラストラクチャサービスを発表したが、今回「vCloud Air」に改称。機能面でも、データベースのサポート、オブジェクトストレージのサポートを加えた。後者は仮想マシンをブロックボリュームとして扱うもので、EMCのViPRストレージを基盤に、Amazon E3向けのAPIを提供する。最大で20TBに対応するなど、大規模対応を差別化とするという。

 このほか、モバイルアプリケーション開発サービス、継続的インテグレーションとDevOpsのサポートも加え、容易にクレジット決済できるオンデマンドの従量課金プランを導入した。

(岡田陽子=Infostand)