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“突然、HDDのデータが見えなくなった!!”最良の解決策とは?

11年連続国内NO.1、データ復旧率95.2%の技術力の秘密に迫る

企業におけるクラウドの活用が一般化した現在でも、コストや機密保持の観点からクラウドストレージではなく、社内サーバーやNASなどを社内データの管理に利用している企業は多い。また、企業によっては、特定の用途のために、古くから稼働している社内サーバーを現在でも利用し続けている場合もあるだろう。

しかし、サーバーやNASなどで利用されているHDDやSSDといったストレージは消耗品であるため、使い続けていればいつかは物理的に壊れる。それだけでなく、天災などの不慮の事故や人為的ミスによって壊れたり、操作ミスなどによって論理的にデータを失ってしまったりすることもある。このような物理または論理的なストレージのトラブルが発生した場合に心強い味方となるのが、デジタルデータソリューションの提供するデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」だ。

サービスを手掛けるデジタルデータソリューションはハイレベルのデータ復旧技術を背景に、デジタルデータリカバリー以外にも、クラウドバックアップサービス「デジタルデータバックアップ」や、横領や着服が疑われる従業員のコンピュータなどの電子機器に残る記録を収集・分析し、裁判で有効な報告書の作成まで行なう「デジタルデータフォレンジック」、データ復旧保証サービス「デジタルデータワランティ」、ハッキング対策サービス「デジタルデータハッキング」などの五つのサービスを展開。デジタルデータリカバリーは、同社の中核事業となっている。

デジタルデータリカバリーは、データが読み出せなくなったPCやサーバー、RAID機器のHDDやSSD、メモリカード、MO、FDDなどから大切なデータの救出を行なってくれるサービスである。官公庁や国立大学法人、上場企業、医療法人など、これまでに数多くの企業や個人からの依頼を受け、さまざまなデータの復旧を手掛けており、11年連続国内トップクラスの実績を誇る。

データ復旧を行なうサービスは多くあるが、他社のサービスと比較してどこが優れているのか? また、突然、データが見えなくなったときにどう対処すればより多くのデータを救えるのか? このサービスを運営するデジタルデータソリューション DDR事業部 エンジニアグループ 井瀧義也氏とデータ復旧事業部 マーケティンググループ 川上玲奈氏に、同社のデータ復旧サービスの取り組みについて話をうかがった。

デジタルデータソリューション DDR事業部 エンジニアグループ 井瀧義也氏。デジタルデータリカバリーのデータ復旧に関する取り組みについて詳細に語ってくれた

デジタルデータソリューション データ復旧事業部 マーケティンググループ 川上玲奈氏。同社の多岐にわたるサービスの概要などをていねいに語ってくれた

意外と多い筐体の故障
データが読めなくなったらすぐに持ち込みを!

――御社に持ち込まれた機器で一番多く見られる症状はどのようなものでしょうか?

井瀧氏:お客様によって症状は千差万別ですが、一番多いのは、HDDは無事で筐体が壊れているというケースです。たとえば、単純に筐体の電源が壊れていたりとか、LANポートが壊れていたりとかです。

また、PCに詳しい方の場合、筐体は無事だったためにHDDを取り外して、自分で直そうと試みたり、RAIDの場合、新しいHDDに入れ替えて失敗するというケースもあります。そういう場合、壊れた(見えなくなった)時点で弊社に持ち込んでいただければよかったのですが、自分で直そうとして、結果として中のデータを論理的に壊してしまったというケースです。

多くの場合、弊社に届くのは、お客様が結構いろいろ試された後です。本当はそうなる前の段階が重要なんですが、やはり復旧にはお金がかかることもあり、すぐに持ち込んでいただくというのは難しいですね。こういったこともあって、完全に初期化されてしまった状態で届くという事例が結構多くあります。

預かった機器の初期診断を行なうセクション。ここで専門家による初期診断が実施される

――突然データが見えなくなったときに自分で直そうと、あれこれ試みるのはよくないというわけですね。では、そのような場合、ユーザーはどうするのが最善の策なのでしょうか?

井瀧氏:NASやサーバーの共有ドライブが見えなくなったとか、外付けHDDをPCに接続しても見えない状況というのが、多くの場合、事の始まりになると思います。そういったケースでは、まず、PCを再起動してどうなるかを見てほしいです。

外付けHDDの場合、何度かPCとの接続を行なって状況を確認すると思いますが、見えるか見えないかの確認だけにとどめて、見えない場合は、それ以上何もせずに弊社にご連絡いただければと思います。

NASの場合は、最初に管理画面を開いて、それでHDDが見えているかどうかを確認すると思います。そのときに、そもそもNASの管理画面が表示できない場合は、NASのファームウェアが壊れていたり、筐体が壊れていたりします。その場合、その時点ですぐに弊社に持ち込んでいただければ、ほとんどの場合直せます。

詳しい方の場合、NASからHDDを取り外して、各HDDごとに見えるか見えないかを確認するという方もいらっしゃいますが、それはオススメできません。

また、(取り外したHDDで)RAIDを自動で組んでくれる簡易的なツールがネットで配布されていますが、使用はやめていただきたいと思います。こういったツールは、運よく直るときもありますが、逆にデータを壊してしまう危険性もあるからです。

――ツールの利用がよくないのは、データを書き込みにいってしまうことがあるからでしょうか?

井瀧氏:そうです、HDDに対してデータを書きにいってしまうと、逆に壊してしまうことがあるので、そういったツールの使用は危険です。また、読み出しも壊れかけたHDDに対して大量に行なってしまうと逆に寿命を縮めてしまう場合があります。

また、RAID 1/5/6のNASの場合、再構築(リビルド)すると全部もとどおりに戻ると思っている人が多くいらっしゃいます。リビルドは正常に終われば、もちろんもとに戻りますが、途中で固まって落ちてしまうと、データがすべて破損したり、あるいは初期化されます。こういった事例も多くあります。

初期化されると、HDDの順番、ブロックサイズ、アルゴリズムだったりといったRAIDの構成情報がいろいろ書き換わります。このため、リビルドに失敗してデータを壊してしまうと、復旧作業が難しくなります。

――RAID 1/5/6の場合、リビルド中に別のHDDが壊れるといったことも起きるのではないでしょうか?

井瀧氏:不良セクタが増えたりしてHDDが物理的に壊れた場合ですと、通常、RAIDの場合、同一ロットのHDDが使われている可能性が高いので、リビルドを行なっているときに別のHDDが壊れてしまうということも確かにあります。

ただし、これは物理的な話の場合です。論理的に壊れている、つまり、ファイルシステムが壊れている場合もあります。実際に結構あるのが、今回は物理障害が発生して認識されなくなったが、実は、それよりも前、たとえば1年前に(今回とは)別のHDDが論理的に壊れていたというケースです。これは比較的よくあります。

論理障害のチェックや修復を行なうセクション。取り出したデータの論理障害の修復はここで行なわれている

――そういう場合、サーバーやNASでアラートが出ているのではないでしょうか?

井瀧氏:サーバーやNASなどから、物理的にはOKだけど、中のロジカルにバツが付いているといった感じでアラートは出ているはずです。しかし、それに気付かずにそのまま使い続けていた。たとえば、HDDが4台入っていると、4台全部認識していると思い込んでアラートに気付かずに使っていたというケースです。そういう方からの依頼があります。

年々複雑化しているデータの修復
大切なデータを失わないための予防措置とは?

――RAIDの修復は難しいのではないでしょうか?

井瀧氏:RAID自体の修復は大変ではありません。どちらかと言うと、中のデータの修復が大変です。たとえば、Excelやワード、写真などのデータを復旧するのと、データベース系のデータを復旧するのでは全くレベルが違います。サーバーやNASをご利用のお客様は、近年データベース系のデータが増えていて、修復の難易度が上がっています。たとえば、ゲーム制作データや社内の管理システムなどです。こういったデータの場合、一つでもファイルが壊れていると正常にシステムを運用できなくなります。そういう意味では、データベース系は、本当に100%直さないといけないので大変です。同業他社では、できないというところが結構あるのではないでしょうか。

論理障害の修復やチェックをツールを利用して行なっている。Windowsで動作するツールを利用しているようだ

――データベース系とは具体的にどのようなソフトでしょうか? また、復旧にどのくらいかかりますか?

井瀧氏:SQLサーバーです。無数のファイルを全部つなぎあわせないといけないので修復が非常に大変です。RAIDの修復で難しいと言われているものは、だいたい、そういったデータです。簡単なものなら預かったその日のうちに修復できますが、長いものですと、1カ月かかる場合もあります。

――大切なデータを失わないようにするには日々どういったことに気を付けるとよいのでしょうか?

井瀧氏:日々、RAIDのアラートなどのチェックは欠かせないでしょうね。また、(サーバーやNAS、外付けドライブとは異なる)別のドライブにバックアップを作っておくことも必要です。そういったことをきちんとやっておけば、RAIDのドライブが故障しても、交換で通常は直ると思います。

ただ、弊社としてはドライブ交換を行なうこと自体、あまりオススメしていません。

と言うのも、RAIDのHDD交換を行なうと、その後に全ドライブを読みにいくという動作が行なわれます。そのときにほかのドライブに問題が発生していると、そこで止まってしまいます。また、先ほども申し上げましたが、このときに交換したドライブとは別のドライブが故障するということもあります。

こういったことがありますので、理想的にはクローンを作っておいて、そのクローンに対して修復をかけるのがベターです。しかし、一般の方には難しいので、障害が発生したら、あれこれ自分たちでやろうとせずに、できるだけ速く弊社にご連絡いただけばと思います。弊社では、初期診断を行ない、その診断結果をお客様に報告するところまでは無料で行なっています。

データ復旧の流れ。診断結果の報告までは無料だ。デジタルデータリカバリーでは出張見積りなども行なっている

――気楽に持ち込んでも問題はないのでしょうか?

川上氏:弊社には、初期診断をする前に、お客様の相談を受けるアドバイザーというグループがありまして、そちらのほうでお客様の症状だったり、どんなデータを取り出したいのかといった話をうかがいます。そこで解決できるようなケースの場合は、その段階でご案内させていただきます。たとえば、機器が壊れたといってご連絡いただいたお客様でも、実際には、お客様ご自身がデータを別の場所に移動させていたことに気付かずにデータがないと誤認されている場合があります。そういった場合は、電話診断で確認させていただいて、その段階でご説明させていただきます。

また、弊社が行なっているのは、あくまで「データの復旧サービス」です。ご依頼になるお客様の中には、機器の修理が行なわれ、これまでどおり使用できる状態となって機器が戻ってくると勘違いされているお客様が少なからずいらっしゃいます。弊社ではご依頼があった場合、通常、復旧したデータを10日間無料レンタルの外付けHDDにお入れして納品しております。お預かりした機器が、修理されて通常利用できるような状態となって戻ってくるわけではない点にはご注意ください。

右が電話診断などを行なっているセクション。左は初期診断を行なうセクションだ。すぐ近くに専門家がいるので、電話診断でも素早い対応が可能となっている

スクラッチとLinuxの修復が強み
80年代からのHDDを約1,000種類、8,000台を常時ストック

――データ復旧を行なう上での御社の強みはどこにあるのでしょうか?

井瀧氏:弊社の強みとして最初に挙げておきたいのが、「スクラッチ」と呼ばれる、プラッタが傷付いているHDDからデータを復旧する技術の高さです。スクラッチは、ヘッドがプラッタに接触してできる傷です。残念ながら、この傷が付いた箇所のデータを取り出すことはできないのですが、それ以外の領域であれば、データを取り出せます。

このスクラッチに関しては長年取り組んでいます。他社で不可だった場合でも弊社ではデータの復旧を行なえたという案件でもっとも多いのが、このスクラッチが付いたプラッタからのデータ復旧です。

HDDの分解写真。右上の金属の円盤がプラッタ。このプラッタにヘッドが接触するとスクラッチと呼ばれる傷が付く

――スクラッチがある場合、どうやってデータを読み出すのですか? またスクラッチは常に研究されているのでしょうか?

井瀧氏:プラッタに傷が付くと、そこでヘッドが反応して跳ね返ってしまい、ヘッドがそこよりも先に行ってくれません。ヘッドとプラッタの隙間は、ナノメートル単位の話なので、ちょっとでも凹凸があるだけでダメなんです。そこを、ヘッドが通るようにスクラッチをなめらかにします。さらに、詳しいことは言えませんが、傷が付いていないところだけを読むようにします。

RAIDももちろん、原因がスクラッチだったという案件は多くあります。たとえば、RAID 5ですとHDDが3台必要ですが、すでに1台スクラッチになってしまった。そうしたら、そのスクラッチを飛ばしてなんとか読める状態に持っていって、クローンを作成。それが終わったら3台でRAIDを組むという感じで、スクラッチの傷が付いたプラッタからデータ復旧を行ないます。

また、HDD内のデータの復旧を行なう場合、ヘッドの交換が必要になる場合もあります。ヘッドを交換しても、平均して3、4回読み出しを行なうと、ヘッドそのものがダメになってしまいます。このため、一度交換したら読めるところまで読んで、認識しなくなったらまた別のヘッドに交換して追加で読んで、という感じで作業を行ないます。クローンを作るために1台に対して3、4回程度ヘッド交換を行ないます。なので、1台につき部品交換用のHDDが3、4台ぐらい必要になります。

弊社では、データ復旧を行なうHDDの部品交換用HDDとして、常時約1,000種類、約8,000台のストックを用意しています。このうち、90%が2000年以後のHDDで、残り10%が80年代、90年代のHDDです。

このスクラッチ技術に関しては、ほぼ自社でやっています。ツールではなく、設備と機械と手作業でデータの取り出しを行なっています。弊社では、そのためにクリーンルームを備えています。

常時8,000台をキープするというHDDの修理に使用される部品交換用HDD。常時約1,000種類と言うから驚きだ

大昔のHDD。80年代のHDDのデータの復旧なども半年に1度といった頻度で依頼されると言う

――どうするとスクラッチができるのでしょうか?

井瀧氏:たとえば、プラッタが回転しているときにHDDを落すと、ヘッドがプラッタに衝突して、スクラッチができたり、ヘッドが壊れたりします。

また、ヘッドが壊れたことによって、カチカチという異音が発生し、これを直そうとツールで修復を行なうなど、いろいろ試すと、傷がどんどん増えていって致命傷になります。

異音にもいろいろ種類があります。ヘッドが壊れているのか、それとも違うところが壊れているのかで異なる音がします。HDDのメーカーによっても音が違います。実は、物理診断に関しては、8割方音で分かります。音を聞いて、これはスクラッチだ、とかですね。聞いたことがない人からしたら、何のことか分からないでしょうね(笑)。

――ほかにも強みはありますか?

井瀧氏:弊社のほかの強みとしては、Linuxのデータ削除を得意としています。たとえば、サーバーで運用されているUbuntu上でのデータ削除などです。

Windowsでは、1回削除してもファイルシステム上にはフォルダ構成が残っているのですが、Linuxに関しては、削除後はしばらくそのままにしているだけでどんどん消えていきます。起動しているだけでデータが消えるという性質がLinuxのファイルシステムにはあります。

これは普通のツールでは復元できませんが、弊社ではそれを復元できます。他社では、復元をツールに任せていて、フォルダ構成などをきちんと直せない場合が多いと思いますが、弊社ではフォルダ構成もきちんと直します。これは手作業でバイナリのデータを見ながら復元するのですが、復旧ができるかどうかはそういう知見がどれだけあるかということだと思います。

――御社の復旧技術の高さは、どこから来るのですか?

井瀧氏:弊社では、さまざまな国とのコネクションがあります。日本だけでなく、ロシア、アメリカ、カナダ、中国、インド、イスラエルなどなど、いろいろな国の企業や個人とのつながりがあって、全員で情報提供をしあいながら技術を高めています。また、復旧技術力を高めるために、そうした海外のエンジニアを招聘するなどの取り組みを行ない、それによってさまざまな知見やノウハウを蓄積しています。そういった取り組み方は、他社と大きく違うと思います。

最新技術で言うと、ヘリウム充填HDDやSMRのHDDの復旧にも取り組んでいます。たとえば、SMRのHDDは、テーブル管理方式なので、従来型のHDDと比較すると、復旧難易度は一気に上がりました。ただ、常に研究に取り組んでおり、新しいものが出たらすぐに買ってきて検証を進めています。ですから、SMRもほかのHDDほど実績はありませんが、復旧実績はあります。

SSDも次々に新しい製品が出てくるので、常に研究しながら復旧に取り組むという感じです。

設備に関しても、世界中から新しいものが出たら基本的には導入しています。他社がどこまでかは分かりませんが、設備の新しさは負けていないはずです。

弊社の場合、基本的にヘッド交換などの交換部品の代金はいただいていません。ですから、部品の交換回数とか、部品をどれだけ使ったかは、料金にはかかわってきません。料金に関しましては、HDDが古い新しいとかは基本的には関係なく、発生している障害の軽度、重度、全体の容量といったそういったところから決まってきます。

障害が発生した場合、自分たちで修復しようとあれこれ行なう前に、メーカーサポートより先に、データ修復の専門家であるわれわれのような事業者にぜひ相談してください。大切なデータを守るにはそれが一番です。

デジタルデータソリューションではクリーンルームを備えており、ここで精密部品であるHDDの分解を行ない、ヘッド交換などを行なっている

SSDやメモリカードの復旧を行なうセクション。SSDやメモリカードではチップから直接データを読み出すことで復旧を行なう