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富士通の2014年度上期連結決算は増収増益、ユビキタスソリューションを中心に実ビジネスが改善

 富士通株式会社は30日、2014年度上期(2014年4月~9月)の連結業績を発表した。

 売上高は前年同期比1.9%増の2兆1928億円、営業利益は同6.2%増の322億円、経常利益は同31.5%増の247億円、当期純利益は同64.5%増の241億円となった。

 富士通 執行役員常務の塚野英博氏は、「為替が円安に振れたこと、ユビキタスソリューションを中心に、実ビジネスが改善したことが影響している。全体としては計画通りの数字であり、第3四半期以降には営業利益の拡大を見込む」と総括した。

富士通の塚野英博執行役員常務

テクノロジーソリューションは増収減益

 セグメント別業績では、テクノロジーソリューションの売上高が前年同期比2.0%増の1兆4921億円、営業利益は同32.3%減の507億円。そのうちサービス事業は売上高が同3.6%増の1兆2290億円、営業利益が同15.8%減の484億円。サービス事業のうち、ソリューションSIの売上高は同2.3%増の4240億円、インフラサービスの売上高は同4.2%増の8049億円となった。また、システムプラットフォームは、売上高が同4.8%減の2631億円、営業利益は同86.7%減の23億円。そのうち、システムプロダクトの売上高は同5.0%減の1099億円、ネットワークプロダクトの売上高は同4.6%減の1531億円となった。

 「テクノロジーソリューションの業績は計画通りに推移している。だが、サービス事業については、昨年上期は、過去5年で最高の利益水準であったことからその反動がある。新規領域への先行投資が継続していること、前年度第2四半期に利益率の高いハード一体型ビジネスの商談があった反動も影響している。システムインテグレーションでは、金融分野において、第1四半期に続く投資拡大が続いたが、公共分野では一時的にハード一体型ビジネスの需要が増加した前年からの反動が影響し、ほぼ前年並になった。だが、インフラサービスは堅調に推移している。マイナンバー制度に関する商談もスタートしている。受注は着実に積みあがっており、一部にはSEの逼迫(ひっぱく)感もあるほど。これを確実に消化し、成果につなげたい」(塚野執行役員常務)などとした。

 サーバー関連は前年同期にあった大型システム商談の反動により、大幅な減収。だが、欧州向けのPCサーバーは伸長しているという。ネットワークプロダクトは通信キャリアのLTE収容光伝送装置の導入が一巡したことで減収になったという。さらに、大型サーバーへの開発投資の影響もあるとした。

ユビキタスソリューションは黒字転換

 ユビキタスソリューションは、売上高が前年同期比7.4%増の5139億円、営業利益は前年同期の285億円の赤字から、96億円の黒字に転換した。「昨年度第4四半期からの黒字を維持し続けている」という。

 そのうち、PCおよび携帯電話の売上高が前年同期比6.0%増の3457億円、モバイルウェアの売上高が同10.4%増の1681億円となった。

 PCは第1四半期には、Windowsのサポート終了に伴う買い換え需要が継続していたが、第2四半期は販売が減速。同四半期は、法人向けおよび個人向けともに減収となった。だが、上期トータルでは国内外とも増収。価格の安定化やコストダウンにより、採算性が改善。「2けた(10億円)の黒字」になったという。米ドルに対するユーロ高が進んだことで、欧州拠点での調達部材のコスト低減効果もあったという。

 また、携帯電話はらくらくシリーズなどのフィーチャーフォンが伸長したものの、スマートフォンの競争激化や新機種投入の減少などが影響し、減収になった。だが、構造改革効果や、品質安定化に伴う対策費用の減少、コストダウン効果などにより、「前年同期の3けた(100億円)の赤字からは益転。大幅に改善した」という。

 デバイスソリューションは、売上高が前年同期比7.9%減の2804億円、営業利益は50.3%減の99億円。そのうち、LSIの売上高は10.1%減の1448億円、電子部品は5.6%減の1363億円となった。

通期業績見通しは据え置き

 一方、2014年度の通期業績見通しは、売上高が前年比0.8%増の4兆8000億円、営業利益は同25.6%減の1850億円、税引前利益は同17.9%増の1900億円、当期純利益は同10.4%増の1250億円と、計画はそのまま据え置いた。

 「上期は売上高で約400億円、営業利益で70億円の計画を上回る実績となったが、下期には高い利益水準を見込んでいるため、全体としてはそのまま据え置いた」という。

 だが、セグメント別業績見通しでは、テクノロジーソリューションでは、国内サービスでの新規連結子会社の売り上げ増、海外サービスの上半期における円安に伴う為替影響により300億円の上方修正。ユビキタスソリューションは、モバイルウェアでは100億円の増額とするものの、パソコンの下期需要減に伴い200億円減とすることで、売上高を100億円減額。営業利益は、PCの採算性向上の影響により、30億円の上方修正。デバイスソリューションの売上高は、電子部品において200億円増額したものの、営業利益を30億円下方修正した。また、PCの出荷計画は、7月公表値に比べて、30万台減の480万台とした。携帯電話の出荷計画は7月公表値を据え置き、310万台のままとしている。

 「PCは下期の厳しい需要動向を反映して出荷計画を下方修正した。ユビキタスソリューションは、下期は赤字になるが、通期は黒字となる。下期は、PCは2けたの下の方の赤字、携帯電話は若干の赤字。数字は堅くみており、下期はマイナスとしているが、コンシューマ製品であるだけに、振れも大きく、期待感もある」と語った。

 クラウドビジネスについては、中期経営計画では、2014年度に2500億円、2015年度3000億円、2016年度には3500億円の売上高を計画しているが、「上期だけで1000億円の売上高となり、そのうち、パブリッククラウドとプライベートクラウドがほぼ半々。今年度通期見通しについては、すでに9割程度が手中に入っている。注力するのはパブリッククラウドであり、2015年度、2016年度に向けては、現在、先行投資をして大がかりな仕掛けをしており、競合力、ケーパビリティとしても、ユーザーの期待に沿えるものが投入できる」とした。

大河原 克行