日本HP、処理性能や仮想化機能など強化したハイエンドストレージ「HP P10000 3PAR」


「HP P10000 3PAR Storage System」
エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 HPストレージ事業本部 製品マーケティング部の志渡みず絵氏

 日本ヒューレット・パッカード株式会社(日本HP)は1日、ハイエンドストレージ「HP 3PAR」の最上位モデル「HP P10000 3PAR Storage System」(HP P10000 3PAR)を発表した。ハードウェア性能の向上などを達成しており、同日より販売を開始する。

 HP P10000 3PARは、日本HPがハイエンドストレージに位置付けているHP 3PAR製品の、最上位として提供される製品。ハードウェアの刷新、第4世代ASICの搭載などにより、従来の「HP 3PAR T-Class」と比べて、最大容量を2倍、パフォーマンスを2.6倍に高速化した。

 今回は特にASICの性能強化が大きく、今回はコントローラあたり2基のASICを搭載したこともあって、「スループット重視のI/Oとレスポンスタイム重視のI/Oが混在したとしても、両方の性能を最大化することができ、より効率的な利用を可能にしている」(エンタープライズサーバー・ストレージ・ネットワーク事業統括 HPストレージ事業本部 製品マーケティング部の志渡みず絵氏)。さらに、一般的なストレージシステムがソフトウェア処理をしているシン・プロビジョニング(仮想プロビジョニング)処理をASICで行えることから、性能劣化を起こしにくい点も、HP P10000 3PARのメリットとした。

 容量面でも、上位製品の「V800」では最大1.6PB、下位製品の「V400」では最大800TBとなり、従来の2倍に拡張された。


HP P10000 3PARの特徴新製品の強化点
フェデレーテッドストレージを実現するPeer Motion

 このほか、ストレージ間の境界をなくす「フェデレーテッドストレージ」の考え方に沿って、「Peer Motion」ソフトが新たに提供される。これを利用すると、HP 3PARのノード同士を直接つなぎ、データの移行が行えるようになるとのことで、1つのノードで容量や性能が不足したときに、ほかのノードへ移す、といった操作を管理者が容易に行えるようにした。これについて志渡氏は、「サイロ化したストレージは、管理にも手間がかかるし、予期せぬ変化に対応しづらいなど、効率化の阻害要因となる」と指摘し、これからは統合したストレージ管理がより重要になると強調した。

 なお現在はHP 3PARのストレージ間でしか利用できないが、将来的には他社製品からの移行などにも対応させていくという。

 また今回は、ストレージOSの新版「InFormOS 3.1.1」や、既存ソフトの強化によっても、機能強化が図られている。まず、空の領域を検知して削除するソフト「Thin Persistence」が強化された。シンプロビジョニングを利用しているボリューム(Thinボリューム)内で、大量のデータを書き込んだり削除したりすると、空のまま領域が確保され続けてしまうことがある。従来から、こうした“ゼロ領域”を削除するThin Persistence機能自体は提供されてきたが、HP P10000 3PARでは16KB単位(従来は128KB単位)で“ゼロ領域”を開放できるようになったため、より無駄の削減につなげられるとのこと。

 2つ目としては、VMware vSphere 5との連携機能強化が行われている。VMware上で仮想OSやアプリケーションが削除されても、従来はストレージ側ではこれを自動検知できなかった。しかし「Autonomic VMware Space Reclamation」ソフトを利用することで、VMDK(Virtual Machine Disk)上で削除された容量は、ストレージ側でも自動的に解放されるようになるので、この面でもストレージの効率化が図れる。

 価格は、「V800」が2529万4500円から、「V400」が1538万2500円から。


Thin機能の強化も行われたVMware vSphere 5で効率のよいストレージ管理を実現

 なお日本HPでは今回、他社ストレージを利用しており、かつシンプロビジョニングを利用していない顧客(保有ストレージ容量30TB以上)を対象に、「Get Thin Guarantee Program」を提供。HP 3PARへ移行した場合に、顧客企業のストレージ容量を半分に削減することを保証する。もし、50%を超えてしまった場合は、その分のHDDの費用を日本HPが負担するとのことだ。


Get Thin Guarantee Program
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