「メタボなストレージをスリムに」、3PARがボリュームのスマート化機能を提供
米3PARのワールドワイド・マーケティング担当副社長、クレイグ・ヌネス氏 |
Thin Conversion機能の概要 |
Thin Persistence機能の概要 |
3PAR株式会社は11月19日、自社ストレージ「InServ」向けの追加ソフトウェア機能を発表した。今回発表されたのは、「Thin Conversion」「Thin Persistence」「Thin Reclamation for Veritas Storage Foundation」「Thin Copy Reclamation」の4つ。これらの機能を、以前から提供しているシンプロビジョニング(Thin Provisioning)技術と組み合わせることにより、機器コストや運用コストの大幅な削減を実現するという。
新製品のうちThin Conversionは、既存ストレージのボリュームを高速にInServへ高速移行する機能。移行元のボリュームから、割り当て済みかつ未使用の領域を、第3世代InServに搭載されたASICで検知・削除することにより、ワイヤスピードでの高速な移行と使用領域の削減を実現する。移行先のボリュームでは、実容量以上のボリュームを仮想的に割り当てるThin Provisioning技術によってスリム化できるため、ストレージの使用量を削減可能。
米3PARのワールドワイド・マーケティング担当副社長、クレイグ・ヌネス氏は、「ボリュームをコピーしてInServへ入れる前に、ASICが、使われていないゼロ領域を検出。データが書かれている領域のみをInServにマッピングする仕組みで、導入前が1PBクラスのものだったとしても、1/4程度の領域に納められるだろう。また、こうしたストレージのリフレッシュに伴う容量削減によって、ストレージ維持の予算も削減できる」とこの技術の価値を説明した。
2つ目のThin Persistenceは、こうしたスリム化したボリューム(Thinボリューム)をさらにスリムにする機能。Thinボリューム内で、大量のデータを書き込んだり削除したりすると、空のまま領域が確保され続けてしまうことがある。この機能は、そうした空の領域を削除することで、容量のさらなる効率的な利用を可能にするもので、ヌネス氏は「こうしたスマート化の機能は、いわば、メタボなストレージの脂肪吸引といえる」と表現。さらに、「Thin ProvisioningとThin Persistenceの併用で、容量を70%削減できるとのデータがある」とも述べ、その効果を示した。なおこの機能でも、空の領域の削除にあたっては、第3世代のInServが搭載するASICを利用している。
3つ目のThin Reclamation for Veritas Storage Foundationも、Thin Persistenceと同様に、削除データから生じた、ボリューム内の空の領域を解放する技術。Symantecと共同で開発したAPIを利用し、自動で領域解放を行ってくれる。利用にあたっては、Veritas Storage Foundation v5以降のソフトウェアが必要になるが、ASICは利用していないので、すべてのInServストレージで利用できるとのこと。
最後のThin Copy Reclamationは、スナップショットに対して同様の処理を行うための機能。古くなり削除された容量を解放して、スナップショットに再利用したり、ほかのボリュームで利用したりすることにより、効率的なストレージの利用をサポートする。
ヌネス氏は、「当社のスリム化(Thin)技術により、必要な容量のみをストレージに書き込むことで、50~75%の容量削減が可能になる。しかし、データセンターには、既存のレガシーストレージがたくさんあり、すでに割り当てられたボリュームを何らかの形で移行させることが必要。そこで役に立つのがThin Conversionだ。また、これによってスリム化した、あるいは最初からスリム化されているボリュームを維持することが必要で、当社では、これらの技術を4つの機能として実現した」と、これらの技術を総括。そのメリットを強調した。
これらの機能はすべて、InServストレージ向けのソフトウェアとして提供され、Thin Conversionは独立したライセンス、Thin PersistenceとThin Reclamation for Veritas Storage Foundationは1つのパッケージライセンスとして設定された。またThin Copy Reclamationについては、InServのOS「InForm OS Ver2.3.1」に実装され、追加料金なしで利用できる。
2009/11/19 16:22