Windows Server 2012研究所

Windows Server 2012 R2の使命は「クラウドOSビジョン」と「Server 2003からの移行促進」 (クラウドOSへの対応とモバイルデバイスのサポート)

クラウドOSへの対応とモバイルデバイスのサポート

――では、そのWindows Server 2012 R2の特徴を教えてください。

 Windows Server 2012 R2は、Microsoftが提唱しているクラウドOSへの対応とWindows以外のデバイスへの対応が大きな特徴といえます。

 クラウドサービスのWindows Azureは、毎月、毎週アップデートが行われている。その基盤OSとして、Windows Server 2012 R2が使われています。

 Windows Azureは、Windows Server 2012ベースで1年前にサービスが始まり、サーバーOSの開発チームがWindows Azureのチームからリクエストを聞き、日々アップデートを行いました。この集大成がWindows Server 2012 R2という形でまとめられたんです。

 今回、Windows Server 2012 R2という形で提供しようというのは、Windows Server 2012で積み残した、クラウドOSコンセプトにしたがったさまざまな機能を入れ込んだので、このタイミングでリリースしようと考えたんです。

 Windows Server 2012 R2のリリースにより、Windows Azureなどのクラウドとオンプレミスが、本当の意味でハイブリッドOSになるものだと考えています。

 実際、ハイパーバイザーのHyper-Vでは、エミュレーションを外して、仮想化にチューンナップした仮想環境にしています。これにより、無駄なエミュレーションがなくなり、仮想環境においても高いパフォーマンスを示しています。

Windows Server 2012 R2の主要な機能。特に、ハイブリッドクラウドに向けた機能とマルチデバイスサポートに向けたモバイル機能は重要
Windows Server 2012 R2のHyper-Vは、基本機能はWindows Server 2012と同じだが、エミュレーション機能を利用しないオプションにより仮想マシンの性能が向上した

 もう1つ重要なのが、サーバーに接続するクライアントデバイスが、Windows OS以外のiOSやAndroidなど、多種多様なデバイスに変化してきた現状があることです。

 Windows Server 2012 R2では、ワークプレースジョインという機能を使って、iOSやAndroidやWindows RTなどのデバイスに対して、Active Directory(AD)の認証が利用できるようになりました。

 また、iOSやAndroid、Windows RTなどのデバイスに対して、フォルダーを同期する「ワークプレースフォルダー」機能が用意されました。ワークプレースフォルダーは、社内のWindows Server 2012 R2に作られた個人フォルダーを、ノートパソコン、タブレット、スマートフォンなどさまざまなデバイスで同期して、利用することができます。

 また、選択的にフォルダーをリモートで消去できるセレクティブ・ワイプ(Selective Wipe)の対象となっているため、もしタブレットやスマートフォンを紛失しても、簡単に業務フォルダーだけを消去することができます。

 この分野では、Windows Server 2012 R2の機能ではありませんが、Windows 8.1のリリースに合わせて、iOSやAndroid用のリモートデスクトップ接続用のアプリを当社自身が無償で提供する、といった取り組みも行ってします。

Windows Server 2012 R2のワークプレースジョインにより、iOS、Android、Windows RTなどのデバイスに対してAD認証がサポートされる
ワークフォルダーを使えば、iOS、Android、Windows RTなどのデバイスで、個人フォルダーが同期される

(山本 雅史)