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NTT東日本、設備点検や災害状況把握にドローンを活用、3月から導入
(2015/1/22 13:37)
東日本電信電話株式会社(NTT東日本)は1月21日~22日、東京都調布市の研修センターで「現場力向上フォーラム」を開催している。
現場力向上フォーラムは、電気通信設備の保全に要するスキルの継承などを目的に、技術の展示や社員による技能競技のコンテストなどを行うもので、今年で8回目の開催。NTT東日本や関連会社の社員など約6500人が来場するイベントとなっている。
報道陣向けには3つの技能競技と、小型の無人マルチコプター(ドローン)を使ったケーブルの敷設作業や設備点検などのデモンストレーションが公開された。
ドローンを設備点検や災害状況の把握に活用
NTT東日本では、2011年の東日本大震災を受け、被災状況の確認や復旧作業をより迅速に行う方法を検討していく中で、ドローンの活用について検討を進めてきたという。
今回、披露されたドローンは、市販ベースの製品をもとに開発したもので、3月から実際に導入が予定されている。機体にはカメラが付いており、映像は現地でリアルタイムに確認できるほか、さらに遠隔地の災害対策室などとつなぐことも可能。GPSとも連携し、あらかじめ指定した地点を飛行するといった操作も行える。
本体の大きさは、周辺のガード部分などを含めて直径約1.3メートル。飛行距離は8000メートル、飛行高度は地上比150メートル。15分間の飛行が可能で、目視確認範囲500メートルの距離で運用する。想定されている対象業務は、設備点検、ケーブル敷設、被災状況確認などで、それらのデモが公開された。
設備点検は、主に橋などの下に敷設されている管路を点検する業務で、従来は橋の上からアームを伸ばす特殊車両や、船で下から見上げる形などで点検を行っているが、ドローンによる点検が可能になることで、対象箇所を確実かつ安価に点検できるようにするのが狙いだ。
ケーブル敷設は、ドローンでまず先行するロープを渡し、そこに実際の通信ケーブルなどをつなぎあわせて敷設していくという作業に用いられる。ドローンにはロープの切り離し装置も備わっており、着陸せずにロープを渡すことができる。
被災状況確認は、災害時などに迅速に現場の状況を把握するもので、立ち入り困難な場所の確認や、広範囲の情報を総合的に確認するといった作業に用いることを想定している。
当初は、東日本の6事業部(エリア)に1台ずつ導入され、まずは設備点検などに用いられる予定。今後もさらに利用可能な業務を検討していくとともに、ドローン自体の改良も進めていく。
ケーブルの修理技術などをコンテスト形式で競い合う
フォーラムでは、NTT東日本の各支店や協力会社などから選抜された社員が、ケーブルの修理技術などをコンテスト形式で競い合う技能競技会が開催されている。技術系の社員には50代以上も多く、そうしたベテラン社員の技術やノウハウを若手に継承していくといった狙いもあるという。
会場の屋外では、「通信ケーブル・宅内の故障箇所特定、復旧作業」の競技が行われた。ベテラン社員と若手社員の2人組がペアとなり、電柱から宅内に引き込まれる光ケーブルの故障箇所を特定し、光ファイバーをつなぎあわせる作業を行うもので、技術の正確性や作業時間、安全性などが審査ポイントとなる。
屋内では、フレッツ光の監視用設備(DCN網装置)に故障が発生したという想定で、故障箇所の特定や復旧作業を行う競技が行われた。遠隔制御が不可能となった状態で、2人組の現地作業者と遠隔地の作業支援者が、いかにコミュニケーションをうまく取りながら作業を進められるかといった点が審査される。
保線作業以外では、故障受付センターの電話オペレーターによる競技も行われた。電話による故障受付の約7割は、「機器の電源が入っていない」といった電話でのサポートにより回復が可能なもので、電話での対応力強化が、早期の回復や業務の効率化(出張派遣修理対応の削減)につながるという。競技時間は30分間で、顧客役の社員との電話応対により故障箇所を特定していくというもので、応対マナーや故障箇所特定スキルなどが審査される。