日本IBM、性能が4倍に向上したグリッド型ストレージ「XIV Gen3」
管理ツールの使い勝手なども改善
XIV Gen3 |
日本アイ・ビー・エム株式会社(日本IBM)は20日、グリッド型SANストレージ「IBM XIV Storage System」(以下、XIV)の新版「XIV Gen3」を発表した。基本的なアーキテクチャの変更はないが、内部のデータ転送速度を従来の4倍に向上させるなど、各種性能が強化されている。
XIVは、グリッド型の構造を採用しているハイエンド向けのSANストレージ。6~15個のデータモジュールを束ねて1つのストレージシステムを構成するのが特徴で、1つのデータモジュールには最大12基の2TB HDDを搭載し、55TB~161TBのユーザー使用領域を提供できる。また、各モジュールにはそれぞれCPUを搭載するほか、データモジュールのうち最大6個に外部接続用のインターフェイスを備えることから、容量だけでなく性能もリニアに拡張可能だ。
加えて内部に納められたデータは、「セルフチューニング」機能によってストレージ側が自動で再配置し、常に最適な配置を実現している点も強み。一般的なRAID技術を用いたストレージと異なり、ストレージ使用率やI/Oに偏りが出ず、設計・配置に手をかける必要がないため、運用の負荷を最小限にしているという。
日本IBM ストレージ事業部長の山崎徹氏は、「構造化データと非構造化データが複雑に組み合わさるだけでなく、これまでにない高頻度で発生する膨大な“ビッグデータ”を保管・活用することが求められる中で、当社では、“ビッグデータ”時代に対応するためのさまざまなストレージを提供してきた。今回のXIVもそのうちの1つで、ストレージの階層を持たない“ティアレス”アプローチにより、お客さまのデータ管理を支援する」と、XIVの持つ意味を説明する。
XIV Gen3の横で説明する、日本IBM ストレージ事業部長の山崎徹氏 | XIVの特徴 |
XIV Gen3の強化点 |
管理ツールも強化された |
XIV G3では、このような従来の特徴はそのままに、さまざまな部分で性能が強化されている。ハードウェアでは、内部インターフェイスをGigabit Ethernet(GbE)から20Gbps InfiniBandへ高速化し、外部インターフェイスも4Gbps FC(ファイバチャネル)+iSCSI×6ポートから、8Gbps FC+iSCSI×22ポートへ強化。さらに、キャッシュ容量を最大240GBから最大360GBへ拡張しており、これらの強化により、BIやアーカイブなどシーケンシャル処理の性能が最大4倍に、データベース、メールなどのトランザクション処理性能が最大3倍に高速化されている。
また、HDDを従来のSATAからSASへ変更。2012年上半期にはSSDにも対応する予定で、これをキャッシュとして用いることにより、応答性能の大幅な向上が期待できるという。
一方ソフト面では、従来より定評があったという、管理ツールの使い勝手をさらに改善した。XIVをストレージ基盤として導入するユーザーが増えていることを受け、最大64台のXIVを単一のコンソールから管理可能にしたほか、QoSのモニタリング機能が強化され、設定した上限と現在の使用率を表示できるようにしている。
価格は、データモジュール×5(ユーザー使用領域55TB)の最小構成価格の場合、1億2155万3000円(税別)から。ハードウェア、ソフトウェアの1年間保証に加えて、シンプロビジョニング、スナップショット、リモート・ミラーリング、QoSなどの機能をすべて含んでいる。
なお、XIVの販売については、山崎事業部長が「サーバー統合や仮想化、クラウドの需要が高まっているが、サーバーが統合されると、1つのストレージにかかる負荷が増える。XIVは、データの自動分散配置やQoSなど、統合に適した機能を備えているので、システム統合のニーズを持つお客さまにお勧めしたい」と説明。また、運用管理の負荷が低いこと、容易な導入・プロビジョニングが可能なことなどから、こうしたニーズを持つユーザーにも展開したいとしている。
単一業務のみならず、複数の業務が混在する環境でも、高いパフォーマンスを発揮できるという | 販売施策 |