2009年度の国内CRM市場はSaaSが大きく伸長、パッケージを上回る~ITR調査


 株式会社アイ・ティ・アール(以下、ITR)は20日、国内のCRM、ECサイト構築管理、FAQ作成管理、レコメンデーション製品を対象にした調査結果「ITR Market View:CRM市場2011」を発表した。国内53ベンダーに対して調査を行い、市場規模および動向分析をまとめている。

 それによると、国内CRM市場の2009年度の国内出荷金額は191億1000万円で、前年比2.5%増になったという。パッケージとSaaSの提供形態別で比較すると、2009年度はパッケージ市場が前年比7.9%減の93億9000万円にとどまっているのに対し、SaaS市場は同15%増の97億2000万円となり、初めてパッケージ市場を上回る結果になった。ITRでは、この傾向は2010年度も続き、市場全体におけるSaaS市場のシェアは、2009年度の50.9%から53.0%へ上昇すると見ている。

 またSaaS型CRM市場の中を見ると、2009年度もセールスフォース・ドットコムが30%強のシェアを維持し、市場をけん引。エイケア・システムズ、パイプドビッツ、シナジーマーケティングなど、メール送信を中核とする製品も伸び、市場の拡大に大きく貢献しているという。

 なお、ITRのシニアアナリスト、甲元宏明氏は、「2009年度、SaaS型のCRM市場がパッケージ市場を上回った要因としては、初期投資を抑制し、資産取得を回避する企業が多いこと、SaaSを活用した国内ユーザー企業の事例が多く紹介され、SaaS/パブリック・クラウドに対してネガティブな意見をもつ企業が減少していることが挙げられる」とコメントしている。

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(石井 一志)
2011/1/20 14:06