日本オラクル、最新ハードを採用したDB高速化アプライアンス「Exadata X2」
ハード・ソフトを統合して最適化、“競合を圧倒する”性能を実現
Oracle Exadata Database Machine X2シリーズ |
米Oracle データベース製品マネジメント担当副社長のマーク・タウンゼント氏 |
日本オラクル株式会社は20日、OLTP/データウェアハウス(DWH)アプライアンスの新製品「Oracle Exadata Database Machine X2シリーズ」(以下、Exadata X2)を発表した。最新のハードウェアを採用し性能を向上させたほか、サービス性能の管理をより厳密に行えるようになった点が特徴。同日より受注・出荷を開始する。
Exadata X2は、DWHのみならず、OLTP処理も高速化可能なアプライアンス製品。当初、2008年に発表されたExadataは、DWHの高速化のみに対応していたが、「Exadata V2」からOLTP処理の高速化をサポートした。日本オラクルの常務執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長 三澤智光氏はこの点を、「データベースのすべてのワークロードを超高速化できる点が、他社との大きな違い。当社ではこれを、単一機能の『アプライアンス』ではなくすべてのワークロードを高速化する世界で唯一の『マシン』と位置付けている」と説明し、差異を強調する。
今回提供されるExadata X2では、2つのラインアップが用意される。1つは、Xeon 5600番台のプロセッサを利用する「Exadata X2-2」、もう1つはXeon 7500番台のプロセッサを利用する大規模向けの「Exadata X2-8」で、いずれも、10Gigabit Ethernetの外部インターフェイスと、40Gbps InfiniBandの内部チャネルを搭載している。
フルラックのExadata X2-2は、2ソケットのデータベースノード8基と、同じく2ソケットのストレージサーバー14基から構成されるが、「ストレージサーバーにもCPUを搭載しているため、クエリ処理のオフロードを実現できる点が効果的に働く」(米Oracle データベース製品マネジメント担当副社長のマーク・タウンゼント氏)とのこと。一方のExadata X2-8は、8ソケットサーバーの「Sun Fire x4800」2基と、Exadata X2-2と同様のストレージサーバーから構成され、OSはLinux、あるいはSolaris 11 Expressから選択できる。
Exadata X2-2/X2-8ともフルラック構成が可能。それに加えて、Exadata X2-2にはスモールスタートにも対応できるよう、クオータラック、ハーフラックの2モデルを提供するほか、Exadata X2-8は8ラックまでの拡張を行えるスケーラビリティを備えた。
Exadata X2-2 | Exadata X2-8 |
なおOracleでは、米Sunの買収後、ソフトウェアとハードウェアを統合した製品をOracle自身が用意することにより、顧客に多くのメリットを提供できるとのメッセージを盛んに配信している。タウンゼント氏も、「ハードウェア、ソフトウェアを統合した上で、それらを最適化して提供することにより、処理能力を向上した」という点を強調。
三澤氏も、「車に例えると、これまではエンジンは当社のデータベースを使っていても、ブレーキ、車体などのほかのパーツは寄せ集めで、それを組み立ててどれだけ性能が出せるか、というようなことをやっていた。しかしExadataでは、それを1つにまとめて提供する。これは大きな進歩だ」と、その意義を説明した。
具体的な性能としては、Flashメモリ技術の有効活用により、前世代のExadata V2でも、「もっとも速い他社のDWHアプライアンスと比べても5倍から10倍」(タウンゼント氏)という、50GB/秒のディスクスループットを実現。これは、他社のハイエンドストレージアレイと比べても5倍以上I/O性能が高いとのことで、さらに、他社アプライアンスにも搭載されることが多くなった圧縮機能についても、「10倍のデータ圧縮を実現できるので、他社のすべての圧縮を合わせたよりも高い圧縮率を提供できる」とした。
Flashメモリ技術により、他社のDWHアプライアンスを超える性能を発揮可能 | ハイエンドアレイよりも高い処理性能を発揮できる | 圧縮性能の対競合比較 |
このほか、ニーズが高まっているデータベース暗号化については、ストレージサーバーが搭載するXeon 5600番台のANSI-NI機能によって、ハードウェア暗号化を実現できる点が、大きなメリットになる。三澤氏は、「これまでデータベース暗号化は、CPUのオーバーヘッドが大きく実装できないといわれていたが、これによって、ほぼCPUのオーバーヘッドなく利用できるようになった」と述べ、この価値をアピールした。
利用用途としては、DWH、OLTPの高速化に加えて、データベース統合も視野にいれているとのこと。その場合は、データベースのワークロードの管理がいっそう重要になることから、サービスの割り当てを最適化するQoS機能を新たに提供し、より多くのデータベースを統合しても、優先度の高い業務には支障がでないようにする。「従来も提供してきたCPUリソースの管理、ディスクアクセスの優先度管理の両機能に加えて、QoSを提供し、最適なリソース管理を支援する」(三澤氏)。
CPUの機能と連携したハードウェア暗号化を実現 | 日本オラクルの常務執行役員 テクノロジー製品事業統括本部長 三澤智光氏 |
データベース統合に最適という | 新機能のQoSをはじめ、リソース管理機能を複数搭載する |
価格は、Exadata X2-2のクオータラックが3358万6971円から、ハーフラックが6157万6114円から、フルラックが1億1195万6571円から、Exadata X2-8のフルラックが1億6793万4857円から。