【Cloud Days】AWSやEMC、シスコなどが最新ソリューションを展示~12Gbps SASや最新仮想化基盤も
クラウドやビッグデータに関するイベント「Cloud Days Tokyo 2012 Conference&EXPO」が、2月28日から29日まで、東京国際フォーラムで開催されている。
展示会では、クラウドインフラやSaaSなどのアプリケーション、またクラウドを支えるデータセンターや機器ベンダーなどのインフラまで、幅広いクラウド関連のサービス、ソリューションが展示されている。また、「ビッグデータEXPO 2012 春」も併設され、ビッグデータ関連ソリューションも展示されている。
AWS(アマゾンデータサービスジャパン株式会社)のブースでは、AWS自身の展示のほか、エコシステムを構成する各パートナー並んで展示していた。
■AWSを活用するソリューション
そのうち、TISは同28日、AWSソリューションプロバイダとなり、「TIS クラウドインテグレーションサービス for AWS」を提供することを発表した。
また、電通国際情報サービス(ISID)は、同じく28日に、AWSと企業を専用線接続するAWS Direct Connectを国内で提供する4社(NTTコミュニケーションズ、KDDI、KVH、ソフトバンクテレコム)と協業しシステム構築サービスを提供することを発表した。
AWS自身の展示 | TISは同日、AWSソリューションプロバイダとなり、「TIS クラウドインテグレーションサービス for AWS」を発表 |
電通国際情報サービス(ISID)は同日、AWS Direct Connectを国内で提供する4社と協業したシステム構築サービスを発表。また、エンタープライズシステムや、CAEの計算バックエンド、ソーシャルメディアの評判解析などにAWSを使うソリューションも展示 | ISIDによる、AWSを使ったCAEソリューション |
KVHはAWS Direct Connectを紹介。AWSと企業オフィスを専用線でセキュアに結ぶ | クラスメソッド株式会社はAWS移行サポートを展示。カード払いではなくプリペイド型のチケットで払うバウチャーチケット方式も提供する |
アイレット株式会社はAWSをホスティングサービスのように月額固定料金で使う導入・運用サービスcloudpackを紹介 | 日本セーフネット株式会社は、AWS上のディスクイメージなどを暗号化しブート時に認証して使うSafeNetソリューションを展示。鍵をオンプレミスで管理するシステムも提供する |
株式会社サーバーワークスは、AWSの管理ツールCloudworksを展示。スケジュールによるシャットダウンやバックアップ、AMIのリージョン間移行に対応するほか、運用代行や課金代行も提供する |
SCSK株式会社は、パブリッククラウドとプライベートクラウドを同じように管理するクラウド管理システムPrime Cloud Controllerを展示 |
マクニカネットワークスは、SSDとHD、クラウドストレージの3種類による階層ストレージ製品StorSimpleを展示。Amazon S3、IIJ GIOストレージサービス、Windows Azureストレージサービス、ニフティクラウドストレージに対応する |
ノーチラス・テクノロジーズは、Hadoopで基幹バッチを処理するためのフレームワークAsakusa Frameworkを紹介。ビッグデータEXPOのEMCブースにも出展している |
■EMCジャパン:Greenplumや仮想デスクトップなどを展示
EMCジャパンは、Cloud Days TokyoとビッグデータEXPOの両方にそれぞれブースを設けている。
Cloud Days Tokyo側のブースでは、「ITの変革」をテーマに、「ITインフラの変革」としてクラウド基盤となるシステムを、「アプリケーションの変革」としてアプリケーションの仮想環境への移行による可能性やパフォーマンスの向上を、「エンドユーザーコンピューティングの変革」として仮想デスクトップソリューションを紹介。同社の幅広い製品群を紹介している。
ビッグデータEXPO側のブースでは、同社の提供するHadoopディストリビューション「Greenplum MR」と、ノーチラス・テクノロジーズのHadoopで基幹バッチを処理するためのフレームワークAsakusa Frameworkを並べ、「Enterprise Hadoop」として展示。同社によると、オープンソースのHadoopソフトウェアはエンタープライズでの利用には、SPOF(単一障害点)対応や管理機能、ハードウェアのスペックを引き出すだけの処理などが足りず、そこを補ったものだという。同時に、DWH専用データベースであるGreenplum DBも展示していた。
EMCジャパンのCloud Days Tokyoブース「ITインフラの変革」 | EMCジャパンのCloud Days Tokyoブース「アプリケーションの変革」 |
EMCジャパンのCloud Days Tokyoブース「エンドユーザーコンピューティングの変革」 |
HadoopディストリビューションGreenplum MRと、基幹バッチ向けフレームワークAsakusa Frameworkを並べて「Enterprise Hadoop」として展示 |
DWH専用データベースGreenplum DB |
■VMware:クラウドや社内アプリケーションを統合管理するHorizon
VMwareのブースでは、米国で提供されている「VMware Horizon Application Manager」が国内で初めて展示されていた。
Horizon App Managerは、シングルサインオンでパブリッククラウドや社内システムなどへの認証を管理し、企業の従業員が1つのポータルからアプリケーションのランチャーのようにそれぞれを使えるソリューション。日本でも、2012年末から2013年初頭ごろにサービスを提供する予定だという。米国での価格は1ユーザーあたり年50ドル。
シングルサインオンで各種WebアプリケーションにアクセスできるVMware Horizon Application Managerが国内初展示 |
■ネットワークベンダーもさまざま出展
ネットワークなどの機器ベンダーも出展している。
シスコシステムズのブースでは、「ユニファイドデータセンター」のコンセプトで、UCSシリーズ製品やFabric Extender対応スイッチ、FabricPath対応スイッチなどを展示している。
UCSシリーズは“クラウドに最適化した”ブレードサーバーやスイッチなどの製品群。サーバー本体やNIC、HBAなどの構成要素をハードウェアレイヤーで抽象化し、論理的に割り当てて構成する。LANやSANのネットワークもインターコネクト製品に集約し、サーバーを含めた構成もインターコネクト製品に内蔵した「UCS Manager」からWebベースで管理する。
他社サーバー製品については、仮想マシンの仮想スイッチをFabric Extender対応スイッチにオフロードするVM-FEX技術を適用。製品としてはNexus2000シリーズが展示された。
また、FabricPathは、L2マルチパス技術の1つ。従来の単一経路のL2ネットワークと違い、ルーティングベースで1つの大きなL2ネットワークを作り、冗長性や動的な経路切り替え、仮想マシンのライブマイグレーション対応などを実現する。要素技術としては、TRILLを元に独自拡張を追加。対応製品としてはNexus7000シリーズや5000シリーズが展示された。
UCSシリーズのブレードサーバーUCS B200 M2や、インターコネクトUCS 6200。下にはFabricPath対応のNexus7000シリーズがある | UCS 6200からUCS Managerで管理 |
Fabric Extender対応のNexus2000シリーズや、FabricPath対応のNexus5000シリーズ | FabricPathのルーティングテーブル |
FabricPathで1つのスイッチが覚えているMACアドレス | FabricPathで経路を1つ切ったときの対応 |
シスコシステムズではほかに、VDIや機器を識別する認証、Web会議システムなどを組み合わせたコラボレーションのソリューションを展示していた。
VDIとコミュニケーションの組み合わせ | 同じIDとパスワードでも、登録されていない端末ではログインできない |
Web会議システム。同じ画面をさまざまなデバイスで見ている |
■ブロケード:16GbpsのSANスイッチやイーサネットファブリック
ブロケードは、ビッグデータEXPOに出展し、同社のSANおよびイーサネットのネットワーク製品を展示している。
SAN製品では、16Gbps対応のファイバーチャネルSANスイッチを展示している。また、イーサネットでは同社のTRILLベースのイーサネットファブリック対応スイッチVDXシリーズを展示。特にビッグデータのためのストレージのネットワークに向けて、速度や低遅延、高速フェイルオーバーなどをアピールしている。
16Gbps対応ファイバーチャネルSANスイッチのBrocade FC8-64とBrocade 6510 | IBMのブレードサーバー内蔵用のFCoE対応スイッチBrocade 8470とBrocade 1007 |
TRILLベースのイーサネットファブリック対応スイッチBrocade VDX 6720とサーバーアダプタのBrocade 1860 | Brocade VDX 6720で最短パスを切ったときの高速フェイルオーバーのデモ。100msec程度で切り替わるという |
■日本HP:さまざまなクラウド関連製品を展示
日本HPのブースでは、サーバーアプライアンスCloudSystem Matrixと、3PARストレージ製品を中心に、クラウド関連の製品やソリューションを展示している。
CloudSystem Matrix(旧称BladeSystem Matrix)は、プライベートクラウドやビッグデータを対象にしたサーバーアプライアンス。サーバーやストレージなどのハードウェアに、仮想化システムや管理ツールなどを一体化して提供する。
3PARストレージは、容量を増やせるスケールアウト構成のSAN製品。2010年に3PAR社を買収してHP製品に組み込んだ。会場では3PAR T400の実機が展示された。
そのほか、ストレージ製品では、SSD iSCSIストレージのP4900や、基幹系向けのHPエンタープライズクラウドサービス(ECS)なども紹介されていた。
サーバーアプライアンスCloudSystem Matrix | スケールアウトSANストレージ3PAR T400 |
HPエンタープライズクラウドサービスの説明 | 同社が販売するコンテナ型データセンターの1/7模型 |
■ニフティ:既存システム移行のためのVMインポートサービス
クラウド事業者としては、ニフティクラウドのブースではVMインポートサービスについて展示していた。2月から提供開始したサービスで、ユーザーのシステムを一度仮想マシンイメージにしたものを、ニフティクラウドに移行するもの。既存システムのクラウド移行や、ディザスタリカバリのためのバックアップシステムなどを紹介していた。
■NTT Com:グローバルのクラウドサービスを展示
NTTコミュニケーションズのブースでは、世界中のデータセンターを利用しネットワークも含めたワンストップサービスを提供する「グローバルクラウドビジョン」、ユーザーが管理するためのポータルのイメージ、グローバルパブリッククラウドサービス(今年春開始予定)について紹介している。
世界中のデータセンターを利用しネットワークも含めたワンストップサービスを提供する「グローバルクラウドビジョン」の説明 | ユーザーが管理するためのポータルのイメージ |
今年春開始予定のグローバルパブリッククラウドサービス |
NTTスマートコネクトのブースでは、クラウドサービスを利用したBCPソリューションとして、オンラインストレージ「スマートストレージ」、仮想サーバーとVLANを組めるサーバーホスティングサービス「Smart FLEX」、リモートデスクトップやXenApp/XenDesktopで使える「仮想デスクトップ」の3つのサービスを紹介している。
オンラインストレージ、仮想サーバーホスティング、仮想デスクトップの3つのサービスをBCPソリューションとして展示 | 仮想サーバーホスティング「Smart FLEX」の管理画面 |
■仮想化ベンダーの展示は?
レッドハットのブースでは、1月にリリースされた仮想化製品「Red Hat Enterprise Virtualization(RHEV)3.0」を展示している。仮想サーバーインフラがRHEL 6.2ベースになり性能やスケーラビリティが向上したほうか、管理サーバーもRHELに対応した。
レッドハットは仮想化製品「Red Hat Enterprise Virtualization(RHEV)3.0」を展示 |
シトリックスのブースでは、同社のIaaS基盤ソフト「Cloud Stack」と、その上で課金やポータルなどを提供する「Cloud Portal」、パブリッククラウドとプライベートクラウドをつなぐ「Cloud Bridge」などを紹介していた。
Citrixのクラウド基盤製品群の紹介 | CloudStackのデモ |
マイクロソフトのブースでは、近く登場するSQL Server 2012を、DWHやBIの機能を中心に紹介している。また、クラウドPC管理ソリューションのWindows Intuneについてもコーナーを設け説明していた。
SQL Server 2012を、DWHやBIの機能を中心に紹介 |
■シマンテック:MDMソリューションやクラウド型メールセキュリティ
シマンテックのブースでは、クラウド型メール&WebセキュリティサービスのSymantec.cloudや、モバイルセキュリティ製品、傘下の日本ベリサインのMDMソリューションなどを展示している。
クラウド型メール&WebセキュリティサービスのSymantec.cloud | シマンテックのモバイルセキュリティ製品 |
日本ベリサインのMDMソリューション |
■マクニカとNVCも取り扱い製品を展示
マクニカネットワークスのブースでは、シトリックスのWebアプリケーションファイアウォール製品や、McAfeeのMDM製品、ジュニパーの仮想ファイアウォールなどを展示している。
シトリックスのWebアプリケーションファイアウォール製品 | McAfeeのMDM製品 |
ジュニパーの仮想ファイアウォール製品とSSL-VPN製品 |
ネットワークバリューコンポネンツ(NVC)のブースでは、分散ストレージをソフトウェアで実現するScality RINGや、トラフィックキャプチャシステムVSS Monitoringを展示している。
分散ストレージをソフトウェアで実現するScality RING | トラフィックキャプチャシステムVSS Monitoring |
■クラウドベンダーへの変革を図るサイボウズ
サイボウズのブースでは、kintoneやGaroon、KUNAI、サイボウズOffice 9を展示している。
サイボウズのkintoneの展示 |
■LSIロジック:12Gbps SASを参考出品
LSIロジックのブースでは、12GbpsのSASエクスパンダのサンプルを参考出品。ディスクが6Gbpsでも12Gbpsのエクスパンダで束ねることで高速化できるという。製品化は2013年上期を予定。
LSIロジックのブースでは、12GbpsのSASエクスパンダのサンプルを参考出品 |