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基本に戻った新しいWindows 「Windows 10」発表

 次期Windows OSがついにベールを脱いだ。名称は予想されていた「Windows 9」ではなく、「Windows 10」。モバイル、PC、ゲームなどさまざまなデバイスで動かすことができる単一のプラットフォームとなり、新CEOの下で進められてる「モバイルファースト、クラウドファースト」の根幹に位置づけられる。これまでのところ評判は上々だが、市場での成功は?

“Windows 8のあるべき姿”

 「Threshold」という開発コード名で呼ばれてきた次期Windows 10は9月30日に米サンフランシスコで開催したイベントで正式発表された。これまでにかなりの情報がリークしていたので、一番の驚きはその名称だった。「Windows 8」から1つバージョン番号をスキップして「10」。その理由について、MicrosoftウォッチャーのPaul Thurrott氏は次のように述べている。なお、同氏は年初に、名称が「Windows 9」に決定したと伝えていた。

 Thurrott氏によると、MicrosoftでOSの戦略と開発を統括するOS事業部エグゼクティブバイスプレジデントのTerry Myerson氏が「インクリメンタル(増分的)なリリースではなく、新しいWindowsのメジャーリリースであり、モノのインターネット(IoT)端末、スマートフォン、タブレット、PC、Xbox、クラウドとさまざまなもので動く」ことから、現在のバージョンから区別したかった、と意図を明かしたという。

 Windows 10はSatya Nadella氏が2月にCEOに就任後、初のOSであり、同氏の下で進むクラウドとモバイル戦略をどのぐらい実現するのか、反映しているのかが注目される。発表されたWindows 10は、単一のプラットフォームでさまざまなものが動く1つの製品ファミリーで、アプリストアも一元化される。そして、メディアの評判はすこぶる良い。

 著名なアナリストで、「Windows 95」からアナリストのキャリアをスタートしたベテラン、Rob Enderle氏はCIOのコラムで、「過去20年間で、初めて本物のWindowsバージョンが登場した」と褒め上げた。Business Insiderも「Windowsへの将来についての印象を大きく改善してくれた」と高い評価を下す。

 その大きな要因がユーザーインターフェイス(UI)だろう。Windows 8で削除されて不評を買った「スタートメニュー」が復活。それもライブタイルを追加するなどのカスタマイズやリサイズが可能だ。このほか、デスクトップ/マウスとキーボード、タッチとのインターフェイスの切り替える新機能「Continuum」や仮想デスクトップ「Task View」を導入し、Windows 7で導入された画面分割表示「Snap」も強化された。

 これらの新機能を紹介したBusiness Insiderは、“Windows 8のあるべき姿”と表現する。「MicrosoftはWindows 8への不満にやっと気づき、中核となるデスクトップ体験に再度フォーカスした。Windowsが利便性を発揮した部分が何かをきちんと見つめることで、Microsoftは前進を遂げた」と述べている。

 Windows 8の失敗との関係をMyerson氏自身も認めているようだ。TechTimesによるとWindows 8で試みたが達成できなかったこと、すなわち「モバイル向けにアジャイルな、かつエンタープライズ環境におけるデスクトップ向けに複雑な体験を提供」したかったと述べたという。

(岡田陽子=Infostand)