米Microsoftがオーンソース化? Shared Source新ライセンス
米Microsoftは10月18日(米国時間)、同社のソースコード共有プログラム「Shared Source Initiative」(SSI)を強化するため、ライセンス体系を今後3つに絞り込むと発表した。新しいライセンスは、オランダ・アムステルダムで開催されていたオープンソースのイベント「O'Reilly European Open Source Convention」(主催:米O'Reilly Media)で発表したものだ。
SSIは、パートナーや開発者と同社技術のソースコードを共有するプログラムで、Linuxをはじめとするオープンソースへの対抗策として2001年に導入された。すでにWindows CEなど15種類の同社技術の一部または全部のソースコードがこのイニシアティブの下で公開されている。これまでSSIの下で開発されたMicrosoft技術はすでに80以上、非Microsoft技術は600以上にのぼるという。
新ライセンスは、(1)最も制限が緩くコードの閲覧、変更、再配布が可能な「Microsoft Permissive License(Ms-PL)」、(2)相互的な「Microsoft Community License(Ms-CL)」、(3)閲覧のみが許可される最も制限の強い「Microsoft Reference License(Ms-RL)」―の3種類がある。Ms-PL、Ms-CLではプラットフォームをWindowsのみとする限定バージョンも用意した。
同社SSIプログラムのディレクター、Jason Matusow氏は、オープンソースの抱えるライセンス問題を指摘しながら、「開発者にとって、分かりやすく簡潔なライセンスにする」と新ライセンスを紹介した。問題とは、オープンソースのライセンスがあまりに多様化していることが、開発者の混乱を招いているというものだ。
オープンソースと法律という観点では、すでに、長期化している米SCO Groupの訴訟などのIP(知的所有権)問題があり、現時点ではオープンソースの弱点となっている。Linuxをはじめオープンソースといわれるもののほとんどが非営利団体Open Source Initiative(OSI)の承認を得たライセンスの下でソースコードを公開しているが、OSIがライセンスを次々と承認した結果、その種類はGPLなどの有名なものを含め、60種類にも達しつつある。これに対し、OSIでは「なるべく既存のライセンスを用いるように」と呼びかけているが、あまり効果はあがっていないようだ。
Microsoftが発表した新ライセンスは、共有という同社の従来の概念からさらに一歩踏み出している。ソースコードの改変や改変したコードを営利目的で使用することを認めるMc-PLなど、オープンソースに近づいた内容となった。
MicrosoftのSSIのサイトには、パートナー企業や開発者に明確になるよう、ステップが分かりやすく記述されている。今回のMicrosoftの動きに対する評価は高いようだ。たとえば、オープンソース擁護団体Free Software Foundation Europeは声明文で、「歓迎の意を表する」と述べている。
また、OSIのサイトに掲載されていた「ハロウィン文書」が削除されている。Microsoftの対オープンソース戦略をまとめた悪名高い内部メモだ。
Microsoftは新ライセンスをOSIに提出していないが、OSI側ではMicrosoftから提出があることを期待していると述べている。また、Microsoft側でもOSI提出に関して検討が進んでいるようだ。うまくいけば、ソフトウェア業界がプロプライエタリか、オープンソースかの議論からステップアップするきっかけになるかもしれない。
Microsoftはさっそく、「Visual Studio 2005 Starter Kits」をMs-PLの下で公開している。