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三菱電機、小型冷却液分配ユニットなどデータセンター向け冷却・電源ソリューションを展示

「暮らしと設備のソリューション展2026」レポート

 三菱電機株式会社は、プライベート展示会「暮らしと設備のソリューション展2026」を10月14日から東京・有明の有明GYM-EXで開催。そのなかで、データセンター向け冷却ソリューションなどを展示した。

三菱電機のプライベート展示会「暮らしと設備のソリューション展2026」

 同社では、エネルギー効率で最高水準となるPUE1.1を実現する次世代データセンターソリューションの実現に取り組んでおり、電源や冷却、監視制御機能をトータルソリューションとして提供。AIや運用データ活用により、電力削減を実現するとともに、豊富なアセットを活かした統合エンジニアリングによって、高効率で安定したデータセンター運用を支えることを事業戦略に掲げている。

 今回の展示では、さまざまな規模のデータセンターに対応できる冷却ソリューション「IT Cooling」による製品群を紹介。小型冷却液分配ユニット(CDU)や、ダイレクトチップ液体冷却向けコールドプレートなどの実機を展示した。

 三菱電機の「暮らしと設備のソリューション展」は、同社の取引先を対象に毎年開催しているもので、空調や家電、住宅設備部門の製品・サービスを一堂に展示している。今年は、「社会が抱えるお困りごとに、三菱電機ができること。」をテーマに、「ビル・オフィス」や「住空間」など7つのエリアを設け、新たに公開した21の新製品および新サービスをはじめ、57の製品およびサービスを展示。カーボンニュートラルやDXなど、多様化する社会課題や暮らしの課題に対して、実機でのデモンストレーションなどを通じて解決策を提案した。また、9社のパートナー企業も出展した。

 三菱電機では、「GX、人手不足、AI時代の社会課題を、三菱電機グループが持つ総合力で解決することを示す展示会を目指した。『体感』、『比較』、『解決』を展示会の目的としている。AIの広がりにおいては、社会の変革を促すドライバーになる一方で、データセンターの急増によって、大量に発生する熱をどう冷やすかといった課題が生まれている。三菱電機は、その点で貢献していきたい」としている。

データセンターの模型を展示。三菱電機の事業領域は幅広い

電源・冷却・監視をトータルで提供、次世代GPUを見据えた「液冷」への布石

 今回の「暮らしと設備のソリューション展」において、新設したデータセンターゾーンは、注目展示のひとつに位置づけられている。

 三菱電機では、データセンター向けソリューションとして、冷却機器の「クーリング&HVAC(チラー)ソリューション」と、電源系設備の「パワーシステム」、光デバイスの「オプティカルデバイス」、そして、これらを統合管理する「制御システム」といった商品群を用意している。

展示会場内のデータセンターゾーン

 「UPSを核とした信頼性の高い電源システムと、省エネに寄与する高効率な空調システムを軸に豊富な納入実績を保有している。三菱電機は、サーバーを設置しているホワイトスペースと、それ以外の設備が入るグレイスペースの両方に対して実績を持つ。電源、冷却、監視制御機能を、トータルソリューションとして提供することが可能であり、AIや運用データの活用によって電力を削減し、豊富なアセットを活かした統合エンジニアリングによって、高効率で安定したデータセンター運用を支えることができる」と自信を見せた。

 CRAC(Computer Room Air Conditioner)やCRAH(Computer Room Air Handler)といった空冷システムから、単相式および二相式の液冷システムまで、顧客ニーズに合わせた幅広いコンポーネントをラインアップしている強みを活かすほか、工事、運用、保守までを含めたデータセンタートータル冷却ソリューションを一貫して提供できる点も、三菱電機のデータセンター事業の強みだという。

 冷却ソリューションの「IT Cooling」では、国内向け自社製品、海外向け自社製品、海外向け他社製品で構成。空冷から液冷まで幅広いコンポーネントを提供する。サーバー室向けには、CRAHやFan Wall、インロー冷却機などを提供するほか、CDU(冷却液分配ユニット)を通じてCPUやGPUを冷却する。

 空冷チラーや水冷チラーにおいては、海外市場向けに大型化を進め、さまざまな規模のデータセンターに対応できるようにしており、海外での実績をもとに国内展開も検討していくことになるという。

 「NVIDIAのGB200やGB300では、1ラックあたりの発熱密度は100~150kWであるが、来年以降に登場するVera Rubin、Rubin Ultra、Feynmanといった世代の進歩によって、発熱量は10倍になると見られている。三菱電機の冷却設備もそれに対応すべく進化しなくてはならない。発熱密度が高まることで、GPUを直接冷やす『単相液冷』から、冷媒を使用して蒸発させて冷却する『二相液冷』へと移行が進むことになるだろう。三菱電機は、この技術を持つZutaCoreに出資し、発熱密度の向上に対応する準備を進めている」と語った。

 ZutaCoreは、イスラエル発のスタートアップ企業で、ダイレクトチップ液体冷却技術を開発。サーバー内部の半導体チップ上のコールドプレートに、絶縁性冷媒を二相式で循環させることができる。水を使用しないで冷却するという独自の技術が特徴だ。

 「発熱密度が高いチップに対して有効な技術である。三菱電機は、協業を通じてこうした製品も取り扱い、最先端のGPUにも対応しながら、トータルソリューションを提供することになる」とした。

 三菱電機では、空冷と液冷を統合したハイブリッド冷却ソリューションとして、「ME-CDU」を提案。高密度化・高発熱化するデータセンターで増大する熱負荷を、AIを活用して効率的に冷却できるようにするという。同社では、「ME-CDU」を、統合ハイブリッド冷却ソリューションの中核コンポーネントと位置づけている。

 展示会場では、ダイレクトチップ液体冷却に対応した小型冷却液分配ユニットを展示した。高さ210cm、幅110cm、奥行き155cmの筐体で、冷却能力は最大1200kWを誇る。安定した高効率の熱交換を実現するとともに、ホットスワップ対応と、柔軟なシステム構成により、連続稼働や容易なメンテナンスを実現。さらに、設計の自由度向上も実現するという。

 また、海外市場向けには大型CDUの提供も開始しており、これらの製品は、今後、国内市場への取り組みも進めるという。

ZutaCoreの「ダイレクトチップ液体冷却技術」
展示したダイレクトチップ液体冷却に対応した小型冷却液分配ユニット(CDU)
ZutaCoreの「ダイレクトチップ液体冷却技術」
ZutaCoreのコールドプレート。絶縁性冷媒を二相式で循環させることができる
こちら側の金属面がGPUの上に直接装着される

AIで運用最適化と省エネを両立

 一方、パワーシステムでは、データセンターの特高受電のための「受配電システム」、停電時に稼働する「非常用自家発電システム」、電源をバックアップする「無停電電源システム(UPS)」、サーバーに電源を供給する「直流配電システム」、同社がGENESIS 64として提供している「監視システム」などがある。

国内電源設備事業の概要

 さらに、三菱電機では、「データセンター運用最適化ソリューション」を開発中であることも示した。三菱電機の知見とデータを利活用し、運用から保守までを含めたトータルソリューションを提案。電力需要の増加と、人手不足という課題を解決するという。具体的には、監視制御で取得した空調機の設定値と、案内温度の関係をAIで学習し、温度を予測。サーバールームの管理温度を逸脱しない範囲で、空調機の消費電力の最小化を狙った最適な設定値を、AIで提案し、運用することで、省エネを実現するという。

データセンター運用最適化ソリューションを開発中だ

 なお、同社は、次世代AIデータセンター向けにNVIDIA製GPU対応のリファレンスデザインも公開している。次世代AIデータセンター建屋の内部にとどまらず、系統接続からGPUなどのチップへの電源供給、ラックから施設全体の冷却を統合的に含むものであり、三菱電機が持つ送配電設備に関する豊富な知見と、最先端技術を結集した次世代の電源システムおよび冷却システムを統合して、ソリューションとして提供することになる。将来、見込まれるギガワット(GW)級データセンターにも対応する拡張性も持つという。

 具体的には、データセンター敷地内にオンサイト発電システムと蓄電システムを備え、平常時は電力会社の系統へ接続し、商用系統の依存度を抑えて運用。万が一、系統事故が発生した際には、マイクログリッドとして自立運転に切り替え、データセンターの電力確保と安定運用に貢献する。また、データセンター建屋内には、415/480VACに加えて、800VDC配電にも対応した電源システムを設置。さらに、冷却システムとしては高密度なAI負荷に適用可能なデュアルループ冷却方式を組み合わせることで、電力効率を最大化するという。

 データセンター事業者に対して、同リファレンスデザインに基づいたソリューションを提供する考えだ。

 三菱電機では、データセンター関連事業で2030年度に売上高4000億円を目指す。そのうち、IT Coolingシステムでは2030年度に売上高1000億円、電源システムでは2030年度に売上高1800億円を目指す考えだ。