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日立システムズ、業種ナレッジと生成AIの組み合わせで業務効率化を支援する「製造業向けアシスタントAI」を提供
2025年8月27日 15:22
株式会社日立システムズは27日、同社が蓄積してきた業務ナレッジと生成AIを組み合わせ、さまざまな業種の固有業務を自動化し、フロントラインワーカーの生産性向上に寄与するアシスタントAIサービスを提供すると発表した。
第1弾として、マイクロソフト社の「Azure AI Foundry Agent Service」を活用し、日立システムズが持つ生成AIユースケースを実装した「製造業向けアシスタントAI」を提供開始した。同サービスは、顧客の社内環境に存在するデータと生成AIを組み合わせ、設計図の品質チェック、過去のヒヤリハットの把握など製造業固有の業務を効率化する。これにより、製造業のフロントラインワーカーの業務効率化、技術継承、労働災害の未然防止などに貢献する。
日立システムズでは、製造業を中心とした顧客との50件におよぶ実証実験や300社を対象にしたアンケートを通じて、製造業には「熟練技術者のノウハウが共有されていない」「作業者ごとに品質のばらつきがある」などの課題や「人手が不足しており生産性を向上したい」というニーズがあることを把握した。また、顧客が生成AIの導入を検討するにあたり、「生成AI導入のハードルが高い」「社内データを使った生成AIの活用方法が分からない」「生成AI利用による情報の流出が不安」などの障壁があることが分かったという。
新たに提供する「製造業向けアシスタントAI」は、製品仕様に基づく対応可否判断、順守すべき各種法令・項目の確認など、製造業特有の業務の支援を行うアシスタントAIとなる。
ITスキルの習熟度に関わらず、多くの人が直感的な操作で利用できるようなUI・UXで設計しており、製造業のフロントラインワーカーが、頻繁に行う業務についてはテンプレート化して標準搭載しているため、AIに指示を出すためのプロンプトを都度入力する必要がなく、すぐに使うことができる。
顧客の自社クラウド上に生成AIが稼働する実行環境を構築するため、顧客のクラウド上のデータや、各種社内システムとの連携が可能。これにより、顧客が持つ業務のナレッジを生かして、より複雑な課題の解決をサポートする。
プライバシー保護機能を搭載しており、入力したデータが大規模言語モデルの学習に使用されることを防ぐ。さらに、個人情報を含む質問はシステムが検知・警告する仕組みを搭載しており、社内のユーザーごとにセキュリティリテラシーに差がある場合においても、システムによって不適切な利用の防止をサポートする。
また、Microsoft Defender for Cloudなど、マイクロソフトのセキュリティサービスを活用することにより、安全・安心な運用基盤を実現する。複数の認証要素を組み合わせた高度な多要素認証を採用することで、不正アクセスなど社外のリスクも低減する。
これらの機能により、社内外の参考情報を収集して作業者の熟練度にかかわらず図面の改善アイデアをリスト化したり、設計時の品質チェックや仕様確認などの作業を簡略化したり、簡単な作業概要を入力して参考になる過去のヒヤリハットを体系的に把握したりすることで、製造業のフロントラインワーカーの業務を効率化する。
また、サービスの提供体系として、試行フェーズ、調査フェーズ、本番検討フェーズなど顧客の検討状況に合わせて、3つの導入支援パックを提供する。「まずは特定の業務から生成AIを試験導入してみたい」といったスモールスタートも可能で、伴走型で導入を支援することで顧客の悩みに寄り添い、生成AI導入をサポートするとしている。
「スターターパック」は、試行フェーズの顧客向けパックで、トライアル環境で顧客の社内データを使った実践的なトライアルおよびレクチャーを実施する。参考価格は、初期費用が19万8000円、月額費用が10万円から。
「アセスメントパック」は、調査フェーズの顧客向けパックで、トライアル環境での実機操作を含めて、顧客のユースケースをどのように活用していくか具体的なイメージ化を図る。参考価格は、初期費用が400万円から、月額費用が10万円から。
「アドバンスパック」は、本番検討フェーズの顧客向けパックで、顧客専用のAzure環境の構築を支援し、顧客の業務に合わせた柔軟なカスタマイズや、新規機能開発を実施する。参考価格は、初期費用が300万円から（＋個別見積もり）、月額費用が39万8000円から。
日立システムズは、製造業向けアシスタントAIを皮切りに、営業向けアシスタントAI、健康データ分析向けアシスタントAI、プロジェクト支援向けアシスタントAIなど、業種に特化したサービスを展開し、2027年度中にアシスタントAI関連で100億円の売り上げを目指すとしている。