週刊海外テックWatch
乱立するエージェント標準の本命になれるか MetaとSierraが主導する「Personal Agent Protocol」
2026年10月13日 11:33
乱立するエージェント標準
こうしたエージェントの標準を掲げるのはPAPだけではない。この1年で、狙いも参画メンバーも異なる仕組みが相次いで登場している。
Visaは2025年10月、Cloudflareと共同で「TAP」(Trusted Agent Protocol)を発表した。Cloudflareが提案するエージェント認証の仕組み「Web Bot Auth」を決済ネットワークが取り込み、エージェント固有の暗号署名によって、加盟店が正規のエージェントと悪意あるボットを見分けられるようにする。
Visaによると、開発段階でShopify、決済大手のStripeなどがフィードバックを寄せた。Visaは今年6月、OpenAIとの協業も発表しており、The Next Web(TNW)によると、ChatGPTなどのエージェントが、利用者の許可を得て、Visaが使える1億7500万以上の加盟店で支払いを代行できるようにする構想だ。
Googleは今年1月、全米小売業協会(NRF)の年次イベントで「UCP」(Universal Commerce Protocol)を発表した。Shopify、Etsy、Wayfair、Target、Walmartなどと共同開発し、20社以上が支持を表明している。商品の発見からカート、チェックアウト、購入後の注文管理までを対象とし、A2A(Agent2Agent)、MCP、自社の決済プロトコルAP2と組み合わせて使うこともできる。
一方、Stripeは2025年9月、OpenAIと共同で開発した「ACP」(Agentic Commerce Protocol)を公開している。注文をAIエージェントから事業者のシステムに渡す共通の仕組みで、Stripeを使わない事業者も採用できる。ただOpenAIは今年3月24日のブログで、ChatGPT内で購入を完結させるInstant Checkoutの優先度を下げ、商品発見に注力する方針を明らかにした。ACPはその基盤として継続している。
PAP発表と同時期に、エージェントの権限確認を扱う標準を掲げる「PACT」(Personal Agent Consent & Trust)も登場した。開発したDecagonは、事業者向けにカスタマーサポート・エージェントを提供するベンチャーだ。エージェント間通信規格のA2Aの上に、OAuth 2.0に基づく委任認可を加え、エージェントが誰を代理し、何を許可されているかを証明できるようにする。同社は、MuseやOpenAIの「dots」などのエージェントが、利用者に代わって事業者のサポート窓口に接触し始めていると指摘する。前週には、そうしたエージェントを専用チャネルで受け付ける「Personal Agent Gateway」も発表している。
エージェント標準は百花繚乱と言えるが、参加企業の重複も見られる。StripeはTAP、PAP、ACPの3つにかかわり、ShopifyはTAPとPAPに参加するほか、UCPを共同開発している。UCPの技術評議会(Tech Council)には今年4月、Amazon、Meta、Microsoft、Salesforce、Stripeが加わった。PAPを主導するMetaも、その一員だ。各標準は、認証・権限(PAP、PACT、TAP)と買い物の流れ(ACP、UCP)のどちらを扱うかが異なり、必ずしも択一の標準ではない。