週刊海外テックWatch
乱立するエージェント標準の本命になれるか MetaとSierraが主導する「Personal Agent Protocol」
2026年10月13日 11:33
需要はあるが、参加はどこまで広がるか
エージェント標準には需要がある。PAPの発表に先立つ9月、Bank of AmericaやCapital Oneなど大手銀行6行は、エージェントによる商取引で信頼を築くための自主的な5原則(透明性、安全性、プライバシーとデータ、選択、相互運用性)を共同で公表し、標準や消費者保護の整備が追いついていないと指摘した。SiliconANGLEは、PAPはこの呼びかけに応えたものとみる。
ただ、ある標準がデフォルトになるためには、参加企業が増えることが必須だ。その面で、PAPが注目される理由の1つが、Sierraを共同創業したCEOのBret Taylor氏の経歴と人脈だ。
Taylor氏は、元Salesforce共同CEOで、同社のSlack Technologies買収を主導したことで知られる。Googleのプロダクトマネージャーとしてキャリアを始め、FacebookではCTO(最高技術責任者)を務め、起業したコラボレーションツールのQuipが買収されてSalesforceに入社した。
2023年のOpenAIのSam Altman氏解任騒動の際に同社の会長に就任し、現在も務めている。そのOpenAIは10月9日、PAPの設計パートナーに加わった。TAPを手がけたVisaとCloudflareの参加は、PAPにとって追い風と言える。一方、Anthropicや、MetaのMuseをブロックしているAmazonの名前はない。
にわかに浮上したPAPだが、限界があるとも指摘されている。10月6日付のTNWによると、欧州の強力な顧客認証(SCA)は、人が金額と受取人を確認して承認することを前提としており、ソフトウェアが代わりに承認する支払いに例外規定はない。PAPが決済に拡張される場合、こうした要件との整合性が課題になる。
CNBCによると、Taylor氏はPAPについて「この取り組みの肝心な点は、オープンな標準であることだ」と話す。標準として定着するかは、草案の実装がどこまで広がり、並立する規格と相互運用できるかにかかっている。