日立、現地組み立て方式のコンテナ型データセンター~サイズやレイアウトのニーズに対応


 株式会社日立製作所(以下、日立)は4日、サイズやレイアウトを柔軟に設計できるコンテナ型データセンター「フレキシブルデザインコンテナ」を発表した。6日より販売開始する。


フレキシブルデザインコンテナの外観イメージ内部のイメージ

 「フレキシブルデザインコンテナ」は、屋外に設置したコンテナ内に、サーバーやストレージなどのIT機器を搭載したラック、冷却用の空調機器といったIT設備を搭載した、コンテナ型データセンター。これらのIT設備を稼働効率が最大となるように配置し、無人運転を支援する監視システムとあわせて提供する。

 通常のコンテナ型データセンターとの違いは、システムの規模・構成に応じてコンテナのサイズを柔軟に決められる点。コンテナサイズに制約のある従来のコンテナ型データセンターでは、コンテナのままで輸送できる特長がある一方、サイズの制約から、保守スペースの確保やIT機器の高集積化、冷却効率の最適化などが課題となることが多い。

 しかしフレキシブルデザインコンテナは、標準化されたパネルなどの部材を現地で組み立てることで、より大きなサイズにも対応。コンテナのサイズを柔軟に決められることから、設備の稼働効率を高めつつ十分な保守スペースを確保するなど、顧客ニーズに対応したデータセンターを短期間で構築できるという。

 監視については、以前から「モジュール型データセンタ」で提供してきた、電力や温度・湿度などの環境監視システムに加えて、監視カメラや火災警報器などを配備可能とし、通常時の無人運用を支援する。

 なお日立では、クラウドシステムやバックアップシステムを設置するデータセンターを早期に立ち上げるなど、データセンターを短期間かつコストを抑えて構築したい顧客などを対象に、積極的に提案していく考え。

 また第1号ユーザーとして、独立行政法人 情報通信研究機構(NICT)が先行採用しており、情報通信技術の研究開発や新たなクラウドサービス、システムの研究開発、実証を行うためのクラウド基盤用のコンテナ型データセンターとして、すでに4月より順次稼働開始しているとのこと。

 NICTに導入されたコンテナは、幅約20.0×奥行き約6.5×高さ約3.9mの大きさで、約2.5カ月という短期間での導入を実現した。データセンター内の冷却は、水冷方式と比べて耐久性が高く、メンテナンスコストが低い局所空冷方式を採用している。PUE値は約1.25。

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(石井 一志)
2012/7/4 14:21