国内外付型エンタープライズストレージ市場、2016年の市場規模は前年比8.9％減の1830億5000万円～IDC Japan調査

　IDC Japan株式会社は7日、国内外付型エンタープライズストレージシステム市場について、主要産業分野別の実績と予測を発表した。2016年の国内外付型エンタープライズストレージシステム市場全体の支出額は、前年比8.9％減の1830億5000万円。支出額に占める上位5つの主要産業分野（金融、製造、官公庁／自治体、情報サービス、通信／メディア）の割合は、前年比2.3ポイント減の75.1％となった。

　2016年の同市場は、前年の金融、官公庁／自治体でのメインフレーム向け大型更新案件の反動が、マイナス成長に影響したと分析。さらに、製造分野でも為替リスクの回避などにより支出が伸び悩み、金融、製造、官公庁／自治体の構成比が低下した一方、情報サービスと通信／メディアの構成比が上昇したとしている。

国内外付型エンタープライズストレージシステム市場 産業分野別 支出額：2021年（出典：IDC Japan）

　IDC Japanでは、同市場の2016年～2021年の年間平均成長率は0.6％、2021年の市場規模は1882億円と予測。2017年以降はプラス成長への回復を予測しているが、前年比成長率は1％を下回る。主要産業分野の構成比については、大きな変動はないものの、サービスプロバイダーとしてのクラウドインフラストラクチャ構築のための支出が継続的に行われることで、情報サービスの構成比が高くなるとしている。

　今後の国内外付型エンタープライズストレージ市場については、成長を牽引するのは、仮想化環境の規模拡大と、クラウドインフラストラクチャへの支出の本格拡大であると説明。

　IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ マーケットアナリストの加藤慎也氏は、「エンタープライズストレージシステムの需要においては、コモディティハードウェアによるSoftware-Defined Storageやクラウドサービスへのシフトがいっそう進む一方で、外付型でもテクノロジーの変化を契機とした新たなビジネス機会があるとみている。ストレージベンダーは、産業分野ごとに異なる需要動向と新たなテクノロジーへの期待を理解することで、より確実なビジネス機会の獲得を進めるべきである」と分析している。