ASICベースの重複排除が可能な中小向けストレージ「BridgeSTOR」、オンラインでも利用可能
ベル・データ株式会社と米EXARは9月17日、両社の共同開発によるストレージアプライアンス「BridgeSTOR」を、10月1日より販売開始すると発表した。インラインの重複排除機能やデータバックアップ、レプリケーションなどの機能を備えた「いいとこ取りの製品」(ベル・データの代表取締役社長、小野寺洋氏)で、価格は360万円(税別)から。主に、中堅・中小企業向けに提供され、保守は日本IBMがワンストップで行う。
BridgeSTORのベースとなる「System x 3650 M2」 | ベル・データの代表取締役社長、小野寺洋氏 |
BitWackr |
BridgeSTORは、ハードウェアによる重複排除機能を備えたストレージアプライアンス。EXARが買収した米HIFNの「BitWackr」技術を利用し、ASICによる重複排除と圧縮を実現しているのが特徴という。ハードウェア筐体は日本IBMのx86サーバー「System x 3650 M2」を、OSにはWindows Storage Server 2003 R2(64ビット版)を採用。ここに、BitWackrの拡張ボードとソフトウェアを組み合わせて、アプライアンスを構成した。ネットワークはGigabit Ethernetを搭載し、iSCSIとNAS(CIFS/NAS)の双方で重複排除ストレージとして活用可能だ。
ASICによる重複排除と圧縮の機能を搭載する |
BridgeSTORのパッケージ構成 |
小野寺社長は「これまでの重複排除製品はコストが高かったほか、ソフトウェアによる対応だったため、スピード面で問題があり、バックアップ用途中心に用いられてきた」という点を指摘。その上で、「BridgeSTORはハードウェア処理(ASIC)によるインラインの重複排除が可能で、これまでの重複排除製品では適用しにくかった、プライマリストレージとしても利用できる」と述べ、製品の強みを強調した。
ストレージは5TB分のSATA HDDを搭載しており、システムが用いる分などを除いた3.3TBの容量を利用できるが、重複排除によって最大20TBに相当するデータを格納可能とのこと。EXARの市場開発担当マネージャー、倉橋秀則氏は重複排除率について、「バックアップを専門に行う重複排除ストレージに比べると、重複排除率が低めに見えるが、これは、バックアップとオンラインでは重複排除の効果が異なるため。BridgeSTORでもバックアップ用途ではそれ以上の効果が出せるものの、BridgeSTORの本来の価値はオンラインストレージとして利用できる点。こうしたことを考慮して、あえて数字は控えめにしている」と述べた。
またBridgeSTORでは、日本CAのバックアップ/レプリケーションソフト「CA ARCserve Replication」と、EXARの暗号化&圧縮ネットワークカード「Express DS 4100」を標準搭載している点も特徴。これらの機能を用いて、重複排除によって小さくなったデータを、遠隔地に安全にレプリケーション可能なため、ディザスタリカバリソリューションとしても利用できる。なお、データ保護に関しては、パリティを2つ取るRAID 6を利用するほか、HA構成もサポートし、万一の障害時には高速なフェイルオーバーが可能になっている。
ベル・データは販売代理店を通じて、BridgeSTORを主に中堅・中小規模の環境向けに販売を進めたい考えで、すでに相当数のリセラー、ディストリビュータが関心を示しているとのこと。さらに今後は、OEMビジネスについても展開する計画があるとした。同社では、3年間で2000台の販売を計画している。
BridgeSTORのターゲット市場 |
2009/9/17 16:42