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富士通のサーバー戦略、キーワードは「グローバルと自社開発」


 富士通株式会社は7月22日、同社のサーバー事業戦略説明会を開催し、オープンプラットフォームを核としたグローバル展開を強化していく方針を示した。


取締役専務 システムプロダクトビジネスグループ長 伊東千秋氏

経営執行役 サーバシステム事業本部長 山中明氏

サーバーの売上・販売状況
 同社のサーバー事業は、6月から7月にかけてSun、Intel、SAP、Microsoftとの提携・協業や新製品の発表が続き注目を浴びている。取締役専務 システムプロダクトビジネスグループ長の伊東千秋氏は「これまで富士通が準備してきたことの発表がたまたま重なった」とし、どれもサーバー事業戦略上重要な位置づけであることを説明した。

 IDCの調査によると、世界のサーバー市場の伸長率は2006年までに平均プラス4%で推移していくのに対し、日本は平均で3%ずつ縮小していくと予想されている。この中で富士通グループは世界で第5位の6%、日本では1位の22%のシェア(2003年)を確保している。経営執行役 サーバシステム事業本部長の山中明氏は「世界市場の上位で米国以外のベンダーが顔を出しているのは富士通だけ」と胸を張る。今後は特に世界市場でのシェア獲得を目指し「2006年には8~9%を目標」としている。

 またグループ全体のサーバー売上高も2003年度実績3656億円から2004年度には3950億円を見込み、「2006年度には5000億円を目標」とするなど、グローバル展開の強化による大幅成長をもくろんでいる。2002年度から2003年度にかけて海外におけるUNIXサーバー販売台数の伸長率は191%に達し国内販売を上回るなど、シフトが確実に進んでいる。

 ここで課題となるのが営業利益率で、2003年の6%から2004年には4%へと下がる見込みだ。山中氏は「2004年は利益率の高いメインフレームよりもUNIXサーバーが伸びたため」と理由を説明するが、グローバル展開を進める中メインフレームが占める割合が減るのは必至であり、価格競争が激しいオープン系で同社が目標としている「利益率7%」にどれだけ近づけるか注目される。なお、同社のサーバー売上高構成率でオープン系が占める割合は2003年度の62%から2004年度予想で75%、2006年度には90%に達するという。


ハイエンドは自社開発にこだわる

 それでは、サーバーの製品戦略はどうだろうか。同社は2006年にSunとUNIXサーバーの製品統合すると発表したほか、2005年にはIntel・Microsoftとの協力のもとItaniumを搭載する基幹IAサーバーを投入、さらにメインフレームにおいても2006年に現行の「GS21」の後継機種を予定するなど、今後も複数のプラットフォームでの製品展開を続ける方針だ。

 しかも3つともミッションクリティカル領域での利用を見込んだハイエンドサーバーが含まれる。山中氏は「ミッションクリティカル技術は全機種共通で自社開発」し、信頼性・性能を確保していく考えを強調。「当社がメインフレーム技術を継承しプロセッサとサーバーを自社開発できるベンダーだからできること。これが可能なのは富士通とIBMだけ」とした。

 同社はハイエンドサーバーは自社開発にこだわり、出荷数の多いミドルレンジ/ローエンドサーバー、およびグリッドやユーティリティコンピューティングなどの技術は「IBMと違って」(山中氏)他社と連携していく方針だ。


サーバーの開発戦略 サーバー戦略ロードマップ


URL
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/

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( 朝夷 剛士 )
2004/07/22 19:32

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