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インテル、採用ベンダー4社とともにItanium普及加速へ


 インテル株式会社は6月11日、日本電気株式会社(以下、NEC)、日本ヒューレッド・パッカード株式会社(以下、日本HP)、株式会社日立製作所、富士通株式会社のItanium 2搭載サーバーベンダー各社とともに、エンタープライズ市場に対する戦略と展望を紹介するプレス向けセミナーを開催した。


NEC、HP、日立、富士通のサーバーを前に講演する米Intel エンタープライズ・マーケティング&プランニング事業部長 アジェイ・マルホトラ氏
 米Intel エンタープライズ・マーケティング&プランニング事業部長のアジェイ・マルホトラ氏は、「エンタープライズ市場に、Itaniumの生産量を生かすことで規模の経済を持ち込み、メインフレームなどのプロプライエタリな技術が使われてきたミッションクリティカルな分野にも、投資効率の高いシステムを実現していく」とした。

 エンタープライズ市場向けのCPUとして、現在では同社のサーバー出荷台数のうち85%を占めているXeonとの関係については「互いに補い合うもの」とした一方、「2007年までにXeonとItaniumのコストは同程度になり、キャッシュインテグレーション、マルチコア、マルチスレッドなどにより性能は倍の格差となる」とした。

 同氏は90ナノプロセスの300mmウェハを手に、「2005年に投入予定のMontecitoでは、17億個のトランジスタにデュアルコアと24MBキャッシュを搭載し、3倍以上の帯域幅となる予定」と述べた。そしてTukwilaでは、「さらにコアの数を増やし、仮想化の機能も導入、電源管理も向上する」とした。


300mmウェハを手にするマルホトラ氏 2005年投入予定のMontecitoで採用される90ナノプロセスの300mmウェハ

 次に同氏は、出荷されているItaniumプラットフォームでの稼働OSについて触れた。その割合はWindowsが43%、HP-UX v11iが31%、Red Hat Linuxが26%だという。これらには、Oracle、DB2、Microsoft SQL、Sybase、MySQLなどの主要なデータベースが動作するなど、現在までに1,600のソフトウェアが対応している。「マルチOSに対応しており、最善の環境を保証する。またサポートソフトウェアも年末までに2,000を超えるだろう」とした。

 続いて日本市場でも金融、小売、製造、官公庁などの業界で導入されていることに触れ、「何十年もメインフレームを手がけ、ノウハウを持っているNEC、日立、富士通などのベンダー各社は、こうした国内企業のシステム要件を理解している。こうしたベンダーがItanium 2を採用していること自体、その信頼性、可用性、高い性能を実証している」とした。


 続いて登壇したNEC執行役員専務の小林一彦氏は、「ハイエンド市場では、かつてないレガシーの急減、オープン化の波が起きている」と述べた。NECではWindows、Linux、HP-UXの3つのOS向けに、2~32Wayのラインアップを揃えることで、「スケールアップ、スケールアウトの双方に注力する」とした。

 そして「2003年にはサーバーの全体売上げが20%弱の成長と好調だったが、Itaniumに強くコミットすることで、2004年にはItaniumサーバーの出荷台数を4倍以上にしたい」と意気込んだ。


NECサーバーの前に立つ執行役員専務の小林一彦氏 NECが6月9日に発表したItanium搭載ブレードサーバー

HP Superdomeの前で講演を行う日本HP 代表取締役会長の寺澤正雄氏
 HPでは、Itanium開発の初期段階からインテルと共同し、「PA-RISCでの経験から最先端の技術を提供してきた」と日本HP 代表取締役会長の寺澤正雄氏。対応チップセットの開発も手がけるなど、Itaniumとのかかわりは深い。国内でのItaniumサーバーの出荷台数は82.8%、金額でも63.5%でトップを占めており、すでにHP9000、Alpha、NonStopの各サーバーすべてをItaniumに変更していくロードマップを発表している。またSuperdomeでも「Itaniumの受注引き合いが半数を占めている」という。

 また独自に開発したHP mx2モジュールは、Itaniumと互換ながら、1.10GHz動作のCPUコアを2つと32MBのL4キャッシュを搭載することで、実装密度を向上するものだ。


HP mx2モジュールを手に登壇した日立 エンタープライズサーバ事業部長の北野昌宏氏
 このHP mx2モジュールを手に登壇したのが日立 エンタープライズサーバ事業部長の北野昌宏氏。日立では6月11日に、このモジュールを採用した「HA 8500/860」、「HA8500/740」を発表している。同氏は「顧客ニーズはいかにリソースをうまく使うかに移ってきている」とし、ブレードサーバーのアーキテクチャについても独自に開発を続けていることを明かした。

 TukwilaでItaniumにも実装される予定の仮想化技術については「本来メインフレームが得意とする領域」とし、インテルと共同で技術検討を進めているとした。また管理ソフトウェア「JP1」を中心として、「マネジメントの面からも最適化を進めていく」という。


富士通 経営執行役常務 伊東千秋氏
 富士通 経営執行役常務の伊東千秋氏は、「早くシステムを構築し、構築したシステムは堅牢で落ちない。これがIT基盤としての「TRIOLE」が目指すところ」とした。

 富士通では「日本より海外の出荷が増え、グローバルプレーヤーの仲間入りを果たした」とのことで、これからも「社会システム構築などのノウハウをベースに、メインフレーム並みのシンプルさと、高いレベルのRAS機能による堅ろうなシステムを実現し、Itaniumによるオープンシステムにより、社運を賭けて提供していく」と語った。参考展示されたプロトタイプ「New MC基幹IAサーバ(仮名)」は、「フレキシブルなパーティショニング機能を備える」といい、2005年に提供予定とのこと。


左が日立の「HA8500/740」。右は富士通が開発中のプロトタイプ「New MC基幹IAサーバ(仮名)」 富士通プロトタイプサーバーの1ユニット。「フレキシブルなパーティショニング機能を備える」という


URL
  インテル株式会社
  http://www.intel.co.jp/
  日本電気株式会社
  http://www.nec.co.jp/
  日本ヒューレット・パッカード株式会社
  http://www.hp.com/jp/
  株式会社日立製作所
  http://www.hitachi.co.jp/
  富士通株式会社
  http://jp.fujitsu.com/
  プレスリリース
  http://www.intel.co.jp/jp/intel/pr/press2004/040611.htm
  ニュースリリース(日立「HA8500/860」「HA8500/740」の発表)
  http://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2004/06/0611.html

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( 岩崎 宰守 )
2004/06/14 10:42

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