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ブレードサーバー戦略を探れ -メーカーは何を目指すのか-

最終回・NEC 普及期に向けた施策をスタート


 NECでは、今年度の国内のブレードサーバー市場が1万枚規模になると試算。用途も特殊な用途ではなく、通常業務での利用がメインになることから、拡販に向けて「ブレードサーバスタートパック」の販売を6月1日からスタートした。9月15日申し込み分まで適用されるこのキャンペーンでは、形状が特殊なことからブレードサーバーを特殊なものと考えてしまっているエンドユーザーに、ブレードは特別なものではないことをアピール。「ブレードサーバーを試すきっかけを作れば、さらなる拡販が見込める」として、訴求していく。


「壊れたら全部取り替える」は日本のユーザーには不向き

クライアント・サーバ推進本部 浅賀博行マネージャー
 NECのブレードサーバーは、3つの特徴をもっているという。

 「1つ目は、他社の製品が、CPU、ディスク、拡張スロットなどの機能を限定しているものが多いのに対し、高性能、高密度を実現しながらも、通常のサーバーと変わらぬ機能をブレードサーバーにももたせている。そのため、性能面から考えても、ほかのサーバーからブレードサーバーへの移行がしやすい」と、クライアント・サーバ推進本部 浅賀博行マネージャーは最初のポイントを説明する。

 特徴の2点目としては、「CPUとディスクを分離し、設定も分離することを可能とするなど、保守性、運用性が高い」点をあげる。

 3点目は、NECが提唱するVALUMO(バルモ)テクノロジーを適用した自律型ブレードサーバー統合管理ソフトウェア「SystemGlobe BladeSystemCenter(システムグローブ・ブレードシステムセンター)」をもっていることで、「障害の発生時に予備ブレードサーバーに自動的に切り替えるといった障害発生時の対応や、昼と夜とでは業務量が異なる場合など、業務量に応じた最適なサーバー資源の自動割り当てといった、ソリューションを実現している」点である。

 ブレードサーバーはフロントエンド利用が多いといわれるものの、「シトリックス社のMetaFrameを利用する際にブレードサーバーを利用するユーザーが多いなど、三層構造のサーバーの、ミッドティア部分に利用されるケースが目立つ。これは事前にユーザーにヒアリングをして、想定していた通りの使われ方だった」と浅賀マネージャーは指摘する。

 ブレードサーバーというと、「利用するのはフロントエンド部分。もしも、故障があった場合には、交換すればいい。どの部分が故障しているのかを特定せずに、即、新しいものに交換できるので、利用する際に効率的」といった言い方もされる。

 しかし、日本のユーザーの場合、「故障している個所を特定し、例えばハードディスク部分だけ壊れているのであれば、その部分だけ取り替えればいいのではないかといった発想になる。壊れたら、即、すべてを交換するという発想は、日本の企業ユーザーにはあまりないようだ」というのだ。

 そこで、NECではブレードサーバーも普通のサーバーと変わらぬものととらえ、サーバーとしての機能を重視することにしたという。


購入後即利用できるセット商品をキャンペーン価格で提供

 現在、ブレードサーバーを導入するユーザーを見ると、データセンターといった業務での利用は一部であり、「普通の企業が、分散していたサーバー資源を有効に活用するために、ブレードサーバーを利用するというケースが多い」という。

 とはいえ、これまでの筐体に入ったサーバーとは見た目も異なるブレードサーバーに対して、「特別なものだと考えてしまうユーザーも少なくない」ことも事実である。

 そこで、「今年度はブレードサーバー市場全体が拡大するが、その際にとにかくひとつでもブレードサーバーを導入してもらうための作戦をスタートした」という。「ブレードサーバスタートパック」と名付けられたこのキャンペーンでは、6月1日から9月15日までの間に申し込みされた製品について、ブレードサーバー「Express5800/420Ma」を1枚、2GBの増設メモリセット、36.3GBのHDDとシャーシ(ブレードサーバーを収納するユニット)をセットにして、56万円で提供する。

 「初めてブレードサーバーを導入するユーザーに対しても、すぐに利用してもらうことができるような構成のパックを実現し、価格も購入しやすく、ラックサーバーと同等の価格帯とすることで、とにかくブレードサーバーになじんでもらうことを狙った」と浅賀マネージャーは話す。

 いよいよブレードサーバーが本格的に普及期を迎えたことをうかがわせるキャンペーン内容だが、「ブレードサーバーの場合、一度当社のブレード収納ユニットを導入してもらえれば、そこに他社のブレードサーバーを追加することはできない。まず、NEC製のブレードサーバーを一枚入れて、使っていけるという手応えをもってもらったら、追加で新しいブレードサーバーを導入してもらうことができるのではないか」と追加導入を促す作戦でもある。

 NECの場合、直販に加えて間接販売の比率も高いだけに、「販売店の皆さんが、このキャンペーンによって、ブレードサーバーは自社で販売してもらうことができる商品という手応えをもってもらうことも重要なポイント」だと指摘する。


いよいよ64ビット版のブレードサーバーの提供もスタート

 また、NECでは64ビット版のブレードサーバー「Express5800/1020Ba」の販売もスタートした。国内では初めてのIA64ブレードサーバーとなるが、「この製品は、科学技術計算、三層構造のティア3と、両方の分野での利用が想定される。特に、ティア3については、データベースの64ビット化で、需要が拡大してくるだろう」という。

 スタート時点では、科学技術分野を主なターゲットとする計画で、OSにはLinuxを搭載。グリッド市場において、並列処理を必要とするバイオサイエンス領域や、技術分野では自動車産業を始めとするシミュレーションを重視する製造業などをターゲットとしており、NECが大きな強みをもつスーパーコンピュータや高性能スカラーサーバーを必要とするCAE(Computer Aided Engineering)解析での利用を見込む。32ビットのIAサーバーと比較すれば高価であっても、スーパーコンピュータと比較すれば、大幅なコスト削減を実現することができるのが大きなメリットだ。



URL
  日本電気株式会社
  http://www.nec.co.jp/

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  ・ NEC、Itanium 2を搭載した高速計算向けブレードサーバーを発表(2004/06/09)


( 三浦 優子 )
2004/06/23 00:00

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