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米3PARの新ストレージソフト、サービスレベルの動的な最適化を実現


3PARのマーケティング担当副社長、クレイグ・ヌネス氏
 米3PARは5月16日(米国時間)に、同社製ストレージアレイ「3PAR InServ Storage Server」(以下、InServ)上で利用できるアドオンソフト「3PAR Dynamic Optimization」を発表している。この製品は、アレイ内のデータボリュームのサービスレベルを、動的に、しかもオンラインで行えるというもの。今回は同製品がもたらすインパクトについて、3PARのマーケティング担当副社長、クレイグ・ヌネス氏に話を聞いた。

 InServは、搭載可能な最大容量が370TBを超える高い拡張性とともに、動的にボリュームを拡張可能なシン・プロビジョニング機能を備えている点が特徴となる。通常のストレージ運用では、実際に利用する容量よりも多めのHDDを、あらかじめアプリケーションごとに用意しておくのが一般的だ。ただしこの方法では、実際には利用しない分のHDD容量が存在するため、コスト的に負担が大きくなるばかりか、事前のプロビジョニングに手間や費用がかかるし、またストレージ自身も、いったん容量が足りなくなった際には、停止してから容量を追加しなくてはならない製品が多いという。

 しかしInServが備えているシン・プロビジョニング機能を利用すると、各ボリュームに対して、共用のストレージエリアから必要な分を動的に割り当てられるので、こうした問題が解決でき、ストレージの利用効率を劇的に上げられるという。またHDDの追加、ボリュームの容量拡張とも、動作中に行うことが可能なため、ユーザーの利用を妨げることもない。


サービスレベルの最適化で、新たなビジネスニーズを満たす

Dynamic Optimizationの活用例その1。データの重要さに応じて動的にRAID構成やHDD種別を変えられるため、ILM管理に利用することも可能だ

Dynamic Optimizationの活用例その2
 こうした特徴を持っているため、InServはそのままでもTCOを向上させることが可能とのことであるが、今回のDynamic Optimizationではさらに、運用中のアプリケーションの最適化も、容易に、かつ変化する状況にあわせて行えるようにしたという。このソフトを利用すると、使用中のボリュームのサービスレベルを、オンラインで、サービスを中断することもなく、しかも数秒という短時間で行え、変更できる項目は、RAIDの構成やリソース割り当て、SATAなのかFCなのかといった利用HDDの種類まで、非常に多岐に及ぶ。

 RAIDの構成変更1つとっても、たとえば単にRAID10からRAID 50への変更が行えるだけではなく、RAID 50で利用するHDDの、データ:パリティの比率(2:1~8:1)までの設定が可能。またリソースの配分ということでは、ボリュームごとの要求性能にあわせて、どれだけプロセッサ、ポート、ループ、スピンドルといった資源を割り当てるかということから、データをプラッタの外に書くのか内に書くのか、といったことまでを、コマンド1つで決めることができるのである。

 これらの機能を利用すると、例えば次のような運用が考えられる。「企業のシステムはサービスレベルを損なってはいけないので、予想されるピーク時の負荷を基準にシステムを導入する。しかし、これではコスト的に負担が大きい。そこで年末商戦などのピーク時にだけ、サービスレベルをRAID 10に変更してパフォーマンスの増大に対応し、ピークが過ぎたら元に戻す、という形の運用ができれば、コスト的な負担は小さくなる。もちろん、これは自動的に行わせることが可能だ」(ヌネス副社長)。

 「またサービスプロバイダが提供するサービスを考えてみよう。このサービスを利用しているユーザーのビジネス規模が成長して、システムの規模の拡大が必要になった場合、通常では2週間程度かけての構成変更が必要になるが、Dynamic Optimizationでは、瞬時に構成変更を行える。すぐに変更できれば、サービスプロバイダはより早く収益を得られるし、ユーザーも満足感が大きいだろう」(同副社長)。

 なお最近では、論理ボリュームの動的な拡張など、ストレージ利用率の向上を目指して取り組んでいるベンダは数多く出てきており、「シン・プロビジョニング」という言葉を用いている場合もあるが、同社では、自社の「シン・プロビジョニング」は、柔軟さ、自動化のレベルなどによってそれらのさらに上を行くとの見方を示した上で、「Dynamic Optimizationによる『サービスレベルの最適化』を強化することにより、新たなる軸において、さらにそれらのベンダに対する優位性を確保できるだろう」(ヌネス副社長)との姿勢を強調した。



URL
  米3PAR(英語)
  http://www.3par.com/
  プレスリリース(英語)
  http://www.3par.com/news/_pr/051605.html

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  ・ “現実的なコストで提供できる”ディザスタリカバリ製品、米3PARから(2005/04/13)


( 石井 一志 )
2005/05/27 13:28

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