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EMC、「他社の4倍速い」ハイエンドNASゲートウェイ

シスコと協業しファイルサーバーの統合化を推進

EMC Celerra NSX

EMC マーケティング本部長の西澤伸樹氏
 EMCジャパン株式会社は5月25日、NASゲートウェイの上位モデル「EMC Celerra NSXシリーズ(以下、Celerra NSX)」を国内で発売した。また、シスコシステムズ株式会社と協業し、両社製品を組み合わせて、Windowsにおけるファイルサーバーの統合ソリューションを推進すると発表した。

 Celerra NSXは、ファイルサーバーとして機能するクラスタ対応ブレードサーバー「X-Blade」(標準4機、最大8機)と、冗長化されたコントロールユニット、UPSを装備するNASゲートウェイ。同社の最新NAS OS「DART 5.4」を搭載したことにより、SAN接続した外部ストレージをX-Blade1ノードあたり従来比2倍以上となる最大16TBまで、Celerra NSX1台で最大112TB(いずれも実効容量)まで管理することができる。また、EMC マーケティング本部プロダクト・マネージャーの後藤哲也氏によると、1秒あたり最大30万オペレーションを実現しており、これは他社製品の4倍の処理速度にあたるという。

 DART 5.4は、スケーラビリティの向上とともに、複数のファイルシステムを単一の仮想ファイルシステムとして扱えることで管理を容易とする「仮想ファイルシステム」や、ILM(Information Lifecycle Management)に基づく効率的なバックアップが可能となる「CFA(Centera File Archiver)」が利用できる。

 CFAは、Celerra NSXで管理されているデータのうち、ほとんど更新されることがないされる非アクティブデータを、二次ストレージとして利用する安価なNAS「Centera」にアーカイブし、アクティブデータのみをバックアップの対象とすることで、バックアップ作業の効率化を図るというもの。アーカイブ/非アクティブの選別はポリシーによる設定が可能であり、またユーザーは、アーカイブされたデータにも透過的にアクセスすることができる。EMC マーケティング本部長の西澤伸樹氏によると、企業におけるNAS上のデータのうち約80%が30日間アクセスがなく、これらをアーカイブしてバックアップ対象から外すことで、日常的なバックアップを要するデータ容量を削減できるという。

 さらに、Celerra NSXと同一筐体内にFC(Fiber Channel)ディスクとATAディスクを搭載可能なストレージ装置と組み合わせることで、FCからATAに同一筐体内でバックアップが行えるNDMPプロトコルをサポートし、ネットワークに負担をかけず高速なバックアップが可能となる。

 価格はX-Blade4機、コントロールユニット・UPS各2台を搭載する標準構成で3500万円から。


Celerra NSXのアーキテクチャと搭載方法 CFAによるファイルのアーカイブ アクティブと非アクティブデータと分けることでバックアップの効率化

CIFS/NFSプロトコルの最適化に特化したWAFS

シスコ マーケティングディレクターの大木聡氏

WAFSソリューション
 シスコとの協業は、EMCのNAS製品とシスコの「WAFS(Wide Area File Services)ソリューション」を組み合わせることで、支社など遠隔地にあるファイルサーバー上のデータを本社センターのファイルサーバーに統合し、集中管理による運用の効率化と、本社・支社間の高速なデータ転送やファイル利用を実現するというもの。Windows環境にのみ対応する。

 WAFSソリューションは、支社に「Edge File Engine」、本社に「Core File Engine」という装置を配置し、両製品間でやりとりされるCIFS/NFSプロトコルを最適化して、支社からセンターにあるデータ利用の遅延を防ぐことができる。

 シスコ マーケティングディレクターの大木聡氏によると、例えばWordで「File Open」を実行した場合、クライアントとサーバー間で数百~千のCIFSメッセージが交換され、しかもその約40%はシグナリングメッセージであるため圧縮できないという。こうした問題は「帯域の増強だけでは解決できない」(大木氏)という。

 WAFSは、CIFS/NFSに特化した遅延削減技術にキャッシングや圧縮技術を組み合わせることで、遅延によるオーバーヘッドのほとんどを削減し、「(支社において)本社で利用するのと同等のパフォーマンスを得ることができる」(大木氏)という。同社がテストしたベンチマークによると、WAFSを利用しない環境と比較して、約2倍~5倍のパフォーマンス向上を計測したという。

 コスト削減目的のみならず、企業で扱うデータや個人情報保護法施行にともなう管理責任の増大といった背景から、大木氏は、こうしたファイル統合管理環境の実現は「企業における早急な課題」としている。



URL
  EMCジャパン株式会社
  http://www.emc2.co.jp/
  シスコシステムズ株式会社
  http://www.cisco.com/jp/
  プレスリリース(EMC Celerra NSXシリーズ)
  http://japan.emc.com/news/press_releases/viewJP.jsp?id=3151
  プレスリリース(EMCとシスコの協業関連)
  http://japan.emc.com/news/press_releases/viewJP.jsp?id=3153

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( 朝夷 剛士 )
2005/05/25 18:13

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