Enterprise Watch
最新ニュース

EMCジャパン、ILM実現に向け製品ラインアップを一気に拡大


エンタープライズ事業部 マーケティング部 部長、宮治彦氏
 EMCジャパン株式会社(以下、EMC)は10月14日、ILM(情報ライフサイクル管理)に関するソフトウェア、ハードウェアの新製品を発表した。

 同社のエンタープライズ事業部 マーケティング部 部長、宮治彦氏によれば、ILMの導入段階には3つのステップがあるという。ステップ1は「階層型ストレージインフラストラクチャ」。これはすべての基本となる考え方で、役割別にハイエンドからローエンドまでのストレージを用意し、利用頻度などに応じて、適切な階層へデータを自動配置できるようにする。次のステップ2は「アプリケーション対応ILM」。このステップでは、特定のアプリケーションのデータだけを対象としたILMを行うが、ILMの対象がすべてのアプリケーションまでに拡大されると、ステップ3に進むことになる。

 今回EMCでは、ILMへの取り組みを加速させるため、上記の全ステップにわたって新製品を投入する。このうちステップ1を対象としたものが、プラットフォームに依存しないレプリケーションを実現したソフトウェア「EMC Open Replicator for Symmetrix」だ。同社のハイエンドストレージ「Symmetrix」向けの製品で、これを用いると、Symmetrixとそれ以外の機種間で、利用中のボリュームそのものや複製ボリュームをバックアップ、ないしはリカバリできる。利用頻度の少ないデータをニアラインへ逃がす場合などに有効だという。

 またデータミラーリングソフトウェア「SRDF(Symmetrix Remote Data Facility)」の機能を強化する各種オプションも発表されている。まず「SRDF/Star」では、業界ではじめて、3カ所のデータセンター間でのデータ複製を可能にしたという。同社によれば、1カ所が災害などでダウンした場合でも、残りの2カ所ではデータ複製が継続されるため、継続的なデータ保護が実現できるとのこと。今回はこれに加えて、同期レプリケーションと非同期レプリケーションを自動で切り替えられる「SRDF/MC(Mode Change)」も新たに提供される。

 さらに、「SRDF with VMware」を利用すると、本番環境では複数のサーバーが稼働していても、セカンダリ以下のバックアップサイトでは、本番環境と同数のサーバーを用意する必要がなくなるという。これは、リモートサイト側でVMwareによって仮想サーバーを構築することによって実現するものだ。なおこれらの製品はすべて、2005年の第1四半期に国内での販売が開始される予定。


Celerra NS500
 一方、ステップ2の製品としては、「EMC EmailXtender」と「EMC DatabaseXtender」があるという。これらはそれぞれ、メール、データベースの管理とアーカイブを行うアプリケーションで、ともに運用を効率化することによってTCOの削減を目指す製品。またそれ以外にも、使用頻度の少ないデータをニアライン以下に移動させるなど、データ管理によって本番(Tier1)環境のシェイプが見込めるため、パフォーマンスが向上するというメリットもあるし、一度保存したデータの改ざんを防止するWORM(Write Once Read Many)製品をアーカイブ先に利用すれば、コンプライアンス対応ソリューションとして使用することも可能になる。ただし現段階では両製品ともに、国内での提供時期は未定とのこと。

 ステップ3の分野では、「EMC Celerra FileMoverソリューション」が提供される。NAS製品「EMC Celerraシリーズ」に追加された同ソリューションは、階層型ストレージ間のデータ移行を強化するもの。ユーザーが定義するポリシーに基づき、ストレージの階層間で透過的にファイルを移動できるという。ファイルをどこへ移動したか、というデータはメタデータとしてCelerraに残るため、ショートカットを利用するソリューションと異なり、データが移動したことをユーザーに気付かれないようにすることもできるという。ニアライン以下の階層になる移動先のストレージは、CIFS/NFSでマウントできるストレージであれば何でもよく、既存の資産を有効に利用できる。このソリューションは10月14日より利用可能とのこと。

 なお今回は、ミッドレンジNAS製品「Celerra NS500」と、ディスク部分を含まないNASゲートウェイ「Celerra NS500G」「Celerra NS704G」、iSCSIをサポートした新たなDART OSも同時に発表された。EMCのテクノロジー・ソリューションズ本部 NAS技術推進マネージャー、鈴木聖氏によると「これまでの当社製品はハイエンド製品が中心。現在はミッドレンジ市場の成長が著しいが、このレンジの製品が存在しなかった」とのことで、EMCではこれらの3製品によって、ミッドレンジでのシェア拡大も狙っているという。価格は1TBのNS500で1174万円から。



URL
  EMCジャパン株式会社
  http://japan.emc.com/
  プレスリリース(ソフトウェア製品)
  http://japan.emc.com/news/press_releases/2004/041014.jsp
  プレスリリース(EMC Celerra FileMover)
  http://japan.emc.com/news/press_releases/2004/041014_3.jsp
  プレスリリース(NAS新製品)
  http://japan.emc.com/news/press_releases/2004/041014_2.jsp


( 石井 一志 )
2004/10/14 19:52

Enterprise Watch ホームページ
Copyright (c) 2004 Impress Corporation, an Impress Group company. All rights reserved.